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実は中央にある心臓 左胸がドキドキする理由

働きもののカラダの仕組み 北村昌陽

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NIKKEI STYLE

 「心臓はどこにある?」って聞かれたら、たいてい「左胸」と答えますよね。だって胸に手を当てると、鼓動を感じるのは左側。ところが実際の場所は、胸のほぼ中央なのです。なのになぜ左胸がドキドキするの? その理由は、あなたが胎児だったころまで遡ります。

春ですね。気分もウキウキしてくるこの季節。胸がときめく出来事を期待している人もいるでしょうか──。

もし、そんなことが起きたら、いいチャンスなので、手を胸に当ててみてほしい。鼓動の位置を確認するためだ。左右両側に手を当てると、ほとんどの人は、ドキドキする感触を胸の左側[]に感じるはず。

「でも、実際に体を解剖してみると、心臓は胸のほぼ中央にあるのですよ」

こんなふうに語り始めたのは、順天堂大学医学部解剖学第一講座教授の坂井建雄さん。えっ、そうなんですか。そりゃあ解剖学の先生がそう言うのなら間違いないだろうけれど、それではどうしてドキドキは胸の中央でなく、左胸に感じられるのだろう?

「実は、拍動が左胸から聞こえるようになるのは、人間が生まれたあと。胎児では、拍動の強さに左右差はありません」

へぇ~、じゃあ胎児の心音は真ん中に聞こえるのか。出産を境に心臓に何が起きるのだろう?

心臓左側の筋肉が鍛えられて厚くなる

上のイラストは、大人の血液循環の模式図。心臓の中は四つの小部屋に分かれていて、向かって左側の二つが「右心房」「右心室」、向かって右が「左心房」「左心室」。外から流れ込む血液は左右の心房へ入り、心室を経て外へ押し出される。左側のルートと右側のルートは完全に仕切られ、血液は交わらない。

右心室から出ていくルートは、血液を肺へ送るので「肺循環」と呼ばれる。一方、左心室から出ていくのは、血液を全身に送り出す「体循環」だ。

[] 内臓の位置が完全に左右逆転する「完全内臓逆位」は、2000~1万人に1人の割合で存在するといわれる。そういう人は右胸がドキドキする。健康上の問題は特にない。この記事を読んでいる人の中にも、きっと何人もいるはず。

「仕事の大変さを比べると、全身へ向かって押し出す方が、大変なのです」と坂井さん。特に最大の難所は腎臓だという。というのも、腎臓はその構造上、中を通る血液が、毛細血管を2回通らなくてはいけない。1回目は尿をこし取るため、2回目は、余分にこされた尿を回収するためだ。

細い道を2度も通すには、より高い圧力をかける必要がある。だから人間の体循環の血圧は120~140mmHgと、肺循環の血圧(25~30mmHg)の4~5倍も高くなっている。

「高い圧力をかけるために頑張るから、左心室の筋肉は右心室より分厚いのです。だから、心臓の左側のドキドキが強く伝わってくるのです」

ほほー。それで、胎児ではどうなっているの?

「胎児の体循環は、大人とまったく違います。二つの循環が2カ所のバイパスでつながっていて、圧力差はありません。心室の筋肉の厚さも左右一緒です」

詳細はイラストを見ていただこう。なるほど、確かにバイパス経路がある。

「赤ちゃんが産まれておぎゃーと泣くと、吸い込んだ息で肺が広がります」。これが刺激になって2カ所のバイパスが一気に閉じる。これで大人と同じ循環が始まり、体循環の血圧が高くなる。その結果、左心室の筋肉が鍛えられて厚くなるのだ。

「左胸のドキドキは、いわば"筋トレ"によって、生まれたあとに形成されるのです」

へぇー、赤ちゃんの体内では、そんなダイナミックな変化が起きるのか。生まれるって大変なことなんですね。

カエルの心臓音は真ん中から聞こえる

「心臓が左右はっきり分かれているのは、哺乳類と鳥類だけです」と坂井さん。その結果、体循環の血圧を高めることができた。これで酸素や栄養の循環が良くなり、運動能力が高まった。カエルが犬や猫のように走り回れないのは、心臓の中が完全に分かれていないためだ。

人間以外でも、牛や馬など大型の哺乳類の心拍は、胸の左側から聞こえるという。左胸がドキドキするのは、高性能の心臓が頑張っている証拠なのです。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。

[日経ヘルス2012年5月号の記事を基に再構成]

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