――丹野さんが理事長を務められている公益社団法人全国消費生活相談員協会はどんな組織なのですか。
丹野 全国にある五百数十か所の消費生活センターに3千数百人の消費生活相談員がいるのですが、そのうちの約2200人が全国消費生活相談員協会に加わっています。自治体で受けている相談、あるいは協会で受けている相談を通じて得た情報をもとに、消費者に対し情報提供をしたり啓発活動をしたりしています。また行政に対して、「こうした消費者トラブルが起きているので対策を打ってほしい」と要望もしています。
1990年代から契約トラブル増加、組織的・全国的に
――消費者トラブルの中身は、かなり変わってきているのでしょうか。
丹野 最初のころは商品の品質に関する相談が多かったのですが、1990年代に入ったころから、いろいろな商品を購入したり、サービスを受けたりするときの契約に関するトラブルが増えてきました。話が違うとか、思ったものとは違う商品でだまされた、といったトラブルです。
1990年代ころから訪問販売とか電話勧誘販売を事業者が積極的にやるようになってきて、そのあたりからトラブルが増えてきました。一般の事業者に紛れて悪質な事業者が不要なものを売りつける事例が急増しました。そうした悪質な商法が組織的、全国的になってきたことも特徴です。
高齢者に多いのは金融関連のもめごと
――その時々に消費者が求めるいろいろな商品、サービスが出てきたのですが、悪質業者は、そのトレンドに乗って、似たような商売でだましに来るのですね。
丹野 最近は特にそうですね。最近の消費生活相談の半分以上は、アダルトサイトや、ネット詐欺など、インターネットに絡むトラブルです。
ご高齢の方を中心に多いのが金融絡みのトラブルです。高齢者の金融に関するトラブルは2種類に分けられます。一つはありもしない金融商品を甘言を弄してだまして買わせるというもの。もうひとつは銀行、保険会社などの商品なんだけれども、契約をしたあとで、自分の思っていたものと違うといってトラブルになるものです。