デスクワークの“あご出し猫背”が顔のたるみを加速ゆがみリセット学(10) 竹井仁

ところが背中が猫背になり、あごが前に突き出るという状態になるとどうでしょう。僧帽筋が縮み、頭の後ろ側の後頭筋、帽状腱膜、前頭筋は後方に引っ張られます。逆に首の前側にある広頸筋は、突き出たあごによって前方に伸ばされます。縮んだ頭の後ろ側と、伸びている首の前側が引っ張りあいっこをしている状態になり、ほおから下部分にある顔面の筋肉はいっせいに、「下へ、下へ」という力を受けてたるみます。自然と口は半開きになる。姿勢をこの状態にして、鏡で顔をチェックしてみましょう。まさにイケてない表情ですね。

一般に、たるみは加齢によって肌の張りや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンなどの線維組織の衰えによって“重力に負けて”起こる、といわれますが、悪い姿勢は、自分でさらにたるみ方向の力をかけているようなもの。首の前が常に引き伸ばされているから、首の筋膜もたるむ。頭を真っすぐにしたときに首のしわも深く刻まれることになります。

さらに、顔の筋肉には他の部位と異なる特徴があります。通常、筋膜は筋肉のすぐ上にあって筋肉のすべりを助ける「深筋膜」、皮膚の真皮のすぐ下にあり皮膚の動きを吸収する「浅筋膜」の二重構造をしているのですが、顔や手の平、足の裏にはこの「浅筋膜」がほとんどないんです。浅筋膜というワンクッションがないために、深筋膜の状態が皮膚にダイレクトに反映されてしまう。だから、筋肉がうまく使われていないとその影響がもろに顔に表れるのです。いつも口角の下がった無表情な顔をしていると、そのまんまの生気のない表情が固定化されてしまいます。

しかも今の若い女性はあごが小さくなっていますから、垂れて落ちてきた筋肉の受け皿が小さく、たるみが大きく表れやすい。硬いおせんべいをバリバリと食べるようなことも少なく、日常会話もメールが多く、顔の筋肉を動かす機会も圧倒的に少ない。顔の筋肉は意識しないと鍛えたり動かしたりする機会が減ってしまいますから、正しく動かす必要があるのです。

 
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