専門家は、果糖が肝臓で代謝されるのは、この“毒性”から体を守るためだと考え始めた。いわゆる砂糖(ショ糖)は、果糖とブドウ糖が半分ずつ。これに対し工業的に作られる高果糖のシロップなどを多く含む食品は、とりすぎると影響が強く出る。「一つは肝臓で代謝された果糖が中性脂肪を増やし、脂肪肝や肥満をもたらす点。また、果糖の一部は血中に流れ出しAGEsとなって『肌のくすみ』など加齢を促進する」と山内さん。
果物などを適量食べる程度なら問題はないが、果糖の多い飲み物とブドウ糖だけの飲み物での比較試験で、果糖のほうが内臓脂肪を増やすことが確認された。果糖のとりすぎにはご注意を。
過去5年ほどで果糖のデメリットが解明
●果糖はブドウ糖よりたんぱく質と約100倍結合しやすく、血液中に存在するとAGEs(終末糖化たんぱく)を作り出す
→メタボリックシンドロームの悪化、細胞や組織の老化につながる
●そのため人の体は、果糖を肝臓で分解するようになった
→果糖をとっても食後血糖値が上がらないのは、“毒性”から身を守るためだったという説も
●果糖の摂取量が増えると、脂質代謝に異常をきたす
→果糖のとりすぎで肥満や脂肪肝になる
●果糖はブドウ糖よりたんぱく質と約100倍結合しやすく、血液中に存在するとAGEs(終末糖化たんぱく)を作り出す
→メタボリックシンドロームの悪化、細胞や組織の老化につながる
●そのため人の体は、果糖を肝臓で分解するようになった
→果糖をとっても食後血糖値が上がらないのは、“毒性”から身を守るためだったという説も
●果糖の摂取量が増えると、脂質代謝に異常をきたす
→果糖のとりすぎで肥満や脂肪肝になる

清涼飲料水のがぶ飲みはしないで! 米国で施策
食品加工技術の進歩でトウモロコシから作られたブドウ糖を果糖に変えた高果糖コーンシロップが登場。甘味がさわやかでおいしいため、清涼飲料水などに広く用いられている。米国では、10年ほど前から清涼飲料水を大量に飲む人に、肥満など果糖の影響が出ているという議論が起こり、現在では大容量容器の中止など、飲み過ぎを避けるための施策も打ち出されている。
食品加工技術の進歩でトウモロコシから作られたブドウ糖を果糖に変えた高果糖コーンシロップが登場。甘味がさわやかでおいしいため、清涼飲料水などに広く用いられている。米国では、10年ほど前から清涼飲料水を大量に飲む人に、肥満など果糖の影響が出ているという議論が起こり、現在では大容量容器の中止など、飲み過ぎを避けるための施策も打ち出されている。
この人たちに聞きました

山内俊一さん
帝京大学医学部教授。「近年、果糖の研究が急速に進み、果糖による脂肪肝は肝臓がんを発生しやすいタイプになりやすいとの報告もあります」
帝京大学医学部教授。「近年、果糖の研究が急速に進み、果糖による脂肪肝は肝臓がんを発生しやすいタイプになりやすいとの報告もあります」

徳安健さん
農研機構食品総合研究所、食品素材科学研究領域糖質素材ユニット、ユニット長。「いま食品科学の分野でも、メタボリックシンドロームの予防など健康づくりに適した糖質の研究開発が進められています」
農研機構食品総合研究所、食品素材科学研究領域糖質素材ユニット、ユニット長。「いま食品科学の分野でも、メタボリックシンドロームの予防など健康づくりに適した糖質の研究開発が進められています」
(科学ライター 荒川直樹)
[日経ヘルス2013年10月号の記事を基に再構成]