比叡山に特攻基地、御所は飛行場 京都と戦争の秘話

歴史のある古都ですが、イメージにつられて「京都は戦争の被害もなくて……」とは、口が裂けても言ってはいけません。

【登場人物】

東太郎(あずま・たろう、30) 中堅記者。千葉県出身。人生初の「関東脱出」で京都支社に転勤し半年。取材時もオフの日も突撃精神で挑むが、時に空回りも。取材帰りに鴨川の飛び石で遊んでいる子どもを見て、思わず「代わってくれ」。

竹屋町京子(たけやまち・きょうこ、25) 支社の最若手記者。地元出身、女性ならではの視線から、転勤族の「知識の穴」を埋める。貴船の川床へ。到着直後は「あら? 大したことないな」と思ったが、座って5分もたつと涼しさに感謝感激。

岩石巌(がんせき・いわお、50) 支社編集部門の部長。立場上、地元関係者との交遊も広く、支社で一番の「京都通」を自任する。外出から戻るたびに「あぢあぢあぢ」と口走っているとは、指摘されるまで自覚なし。

(登場人物はフィクションです)

今なお残る「師団街道」とは?

南北を走る「師団街道」と東西の「第一軍道」の交差点。後方は龍谷大学(京都市伏見区)

岩石部長 8月15日、今日は何の日か、分かってるな。

竹屋町京子 終戦記念日です。

部長 だな。では太郎から、先日の不勉強を明かしてもらおうか。

東太郎 私の平和ボケが皆さんのお役に立つなら……。伏見区にある龍谷大学の深草キャンパスに取材に行ったときの話です。京阪電鉄の深草駅から西へ歩き、横断歩道を渡りますが、その道が「師団街道」という名前で、その由来となった旧陸軍の跡地に大学が建っていることを、私は知りませんでした。

陸軍第16師団の司令部だった聖母女学院の本館

京子 まあまあ、あまり落ち込まないでください。

太郎 いや、東京本社時代は外交・防衛をかじっていただけに……。

部長 戦後も68年。とはいえ、京都支社にいる以上は知ってないとな。

太郎 だから先週末は改めて界隈(かいわい)を歩きました。師団こと陸軍第16師団は日露戦争後に置かれています。明治41年(1908年)に建てられたレンガ造りの師団司令部は今も残っていて、聖母女学院の本館になっています。幼稚園から短大まであります。

京子 あのー、すいません。シダンって何でしたっけ?

太郎 知らないのかよ!

部長 人のこと、言えないだろ。