おおむね15分で直通中止 車両運用の苦労

副都心線は5社の相互直通運転を続けている(東京メトロ提供)

遅延対策はどうだろう。東京メトロによると、運行情報が集まる総合指令所でダイヤの修正や車両のやりくりなどを判断し、その都度指示を出しているという。

「おおむね15分以上の遅れが見込まれるようになると、直通運転を打ち切ることが多いですね」

運転部運転課の水町陽一さんは、トラブル発生時の運用についてこう語る。「トラブルに備えたシミュレーションは常に行っていますが、事前に用意した直通打ち切り用のダイヤがそのまま適用できるとは限りません。事態に合わせて、修正ダイヤをその場で作っています」

例えば東横線が事故などで止まってしまったケース。副都心線は東横線との直通を打ち切り、渋谷駅で折り返すことになる。その際、本来なら東横線方面に走るはずの車両がすぐに戻ってくることになり、車両が余ってしまう。「この場合は池袋の先の小竹向原駅(練馬区)にある留置線(一時的に車両を止めておく線路)で余分な車両をいったん止めて、本線を走る車両の数を減らします」

直通を止めた段階で、どの社の車両がどこを走っているかで対応策は変わってくる。関係する鉄道会社が多くなればなるほど、解くべき方程式は複雑になる。最終的にはそれぞれの会社の車庫に戻すのが原則だが、トラブル発生時間によっては他社の車庫に入ることもある。しかしそうなると、翌日の車両運用にも影響が出てしまう……。現場では毎日、頭を悩ませているという。

半蔵門線と東急田園都市線、直通中止できない理由

直通が中止できない路線もある。半蔵門線だ。駅の構造上の問題だという。どういうことか。

「半蔵門線の渋谷駅には線路が2本しかないので、車両を待避させることができないんです」

運転部運転課の日浦敏宏さんは解説する。2線だと、半蔵門線側、田園都市線側から来た電車を一時的に停車しておく場所がない。遅延がひどくなっても直通を止められず、遅れが広がってしまう。これに対して副都心線渋谷駅には線路が4本あり、待避が可能だ。

渋谷駅では副都心線と東横線、半蔵門線と田園都市線がそれぞれ乗り入れている

半蔵門線は東武伊勢崎線との直通でも問題を抱えていた。2つの路線は押上駅(墨田区)で乗り入れているが、押上駅も折り返しができない構造だったのだ。トラブル発生で直通を打ち切る場合、東武線は北千住駅(足立区)などで折り返すことになり、乗客はその都度、千代田線などに乗り換える必要があった。

このため東京メトロは4月から押上駅の改良工事を実施。10月末に完了したといい、ようやく押上駅での折り返しが可能となった。

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