武井咲、トリンドル玲奈らが急上昇 タレントパワー伸び率ランキング
日経エンタテインメント!
下の表(表1)は、2011年2月から2012年2月の1年間で、「タレントパワースコア」が急上昇したタレントをランキングしたものだ。3カ月ごとのパワースコアの伸びを合計し、その値が高かった順に並べている。総合ランキングの上位にはまだ入っていないとしても、認知度と関心度を一気に上げている旬の人が分かる。
第1位は子役の鈴木福。2011年4月期に放送された「マルモのおきて」に続き、10月期の「妖怪人間ベム」でも好演。同年8月度の調査、11月度の調査で大幅にポイントを上げた。とはいえ、旬の時期が長くはない子役。人気者が毎年どんどん変わっていく状況が続いている。鈴木も2011年末から2012年にかけて、スコアの伸びは一段落。2012年4月期は「コドモ警察」に出演中なので、再び上昇気流に乗れるか注目される。
2位と3位は、オスカープロモーションに所属する、平成生まれの二人が連続ランクイン。武井咲は、2011年1月期のドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」が鮮烈で、同年2月から5月にかけてポイントが大幅に上昇。一方、同ドラマで共演した剛力彩芽もここにきてブレイク。連続ドラマに6期連続で出演しているほか、CM起用も多いので、目にする機会が増えている。同じくオスカープロモーションの忽那汐里も「家政婦のミタ」効果で9位に入った。
4位の錦織圭は2012年1月の全豪オープンテニスでベスト8入りを果たしたこともあり、2月度調査で10ポイント以上アップした。
5位はソフトバンクのCMが話題のトリンドル玲奈。テレビで引っ張りだこのローラ(10位)や番組MCをこなすSHELLY(52位)を含め、モデル出身のハーフ系バラエティータレントは一つのジャンルとして形成されつつある。いずれも2011年後半からポイントの伸びが著しい。
音楽系ではソロが健闘
それ以下では、ナオト・インティライミが堅調にスコアを上げ、7位に。ライブに定評がある実力派ミュージシャンだが、世界を放浪したときのエピソードや、サッカーの話題など、バラエティー番組のトークでも存在感を示している。音楽だけではない総合力で支持を集めているといえそうだ。
音楽系ではほかに、雑誌の読者モデル出身で2011年にCDデビューを果たした、きゃりーぱみゅぱみゅが23位に。「PONPONPON」が世界23カ国に配信され、YouTubeで2200万を超えるPVを記録したことが話題になるなど、新人らしからぬ人気ぶり。CM出演が相次ぎ、露出が増えたこともあって、2月度調査でスコアが上昇した。AKB48に代表されるグループアイドル全盛時代だが、エッジが立ったソロアーティストがジワジワと注目されてきたと言えるかもしれない。
そのほか特徴的な動きは、朝の帯番組「ZIP!」(日テレ)の出演者。36位の速水もこみちは俳優業よりも、料理コーナー「MOCO'Sキッチン」で新たなファンを獲得した。また、日テレの顔として成長しつつある司会の桝太一も31位に。2011年の日テレ三冠王の原動力の一つと言われる同番組ゆえに、人気者たちを続々と輩出している。お笑いでは、コンビでのレギュラー出演に加えて、単独で番組に呼ばれることも多い、ピース(20位)が最も伸びた。
ハーフ系タレント 「無礼講キャラ」で脱マンネリ
「タレントパワー伸び率ランキングTOP50」の上位にランクインしているなかでも、メディアでの露出が増えているのが、バラエティー番組で引っ張りだこのハーフ系タレントだ。実際に、ローラ、トリンドル玲奈、SHELLYのタレントパワースコアは、この1年の間に急速に伸びている(図1)。
彼女たちがバラエティーで重宝されている背景には、テレビ界が置かれている状況の変化があるようだ。制作費が削られ、大仕掛けの企画に打って出にくいなかで、演者が持つトーク力やキャラクター性に負う部分が大きくなっているのだ。こうしたなかで、ハーフ系タレントには、日本人離れした物言い、発想、ルックスといった、"お金のかからない自力"で視聴者を引き付けられる強みがある。
一方、マンネリや予定調和を嫌う視聴者にとっては、上下関係を無視したトークや、ある種、意味不明な振る舞いは、ハラハラドキドキさせてくれて楽しい。
視聴者がハラハラドキドキ
その代表格が、前述の3者の中で、最もスコアが高かったローラ。もともとはファッション誌のモデルとして活動。今や、番組で共演するどんなベテランにも怖気づかない"タメ口キャラ"で、バラエティー番組に毎日のように出演している。特徴的なのは、場の雰囲気を読まずに繰り出す「ローラだよ、オッケー!」の決めゼリフや、耳の前に手のひらではなく、指で輪を作って「え? 何?」と聞く独自のポーズ。答えに窮すると舌を出して照れ隠ししたり、ほほを膨らませてすねたしぐさをしてみたり、知っているはずのないことでも「うん、知ってる」とあっけらかんと答えたりする。まるで共演者をおちょくっているような振る舞いが、共演するタレントたちから、つっこみがいのある問題児キャラクターとして重宝がられている。
こうした個性的なキャラクターで仕事を増やし、「2011年度タレント番組出演本数ランキング」(ニホンモニター調べ)で、出演本数が2010年の38本から200本に増加。4月17日には、その意外性が評価されてか、TBSのスペシャル番組「クイズダービー2012」に抜てき。"穴の女性解答者席"を手に入れた。「笑っていいとも!」の新レギュラーにも決まり、夏にはユニバーサルミュージックからCDデビューの計画もあるなど、今後も目が離せない存在だ。
トリンドル玲奈は、スコア急上昇の要因として、2012年2月から放送されたソフトバンクのCMに、緑色の制服を着た留学生"鳥取(とりんどる)タダ"として登場したことが大きいだろう。舶来ドールのようなルックスを武器に、CM内では、「超イミフ」「てへぺろ」といったギャル語や、「鳥取はまだ糸電話」と、宇宙人ばりのキャラを好演。「あの娘誰?」と視聴者にうまく印象づけた。
そして、SHELLYは、TOKYO MXで情報番組の司会を務めたキャリアも持つ安定感と"ぶっちゃけトーク"で同性のファンを多く獲得。「2011タレント番組出演本数ランキング」(ニホンモニター調べ)では、2010年の128本から295本に増やした。"女性版クリス・ペプラー"と呼ばれる、大人の毒をおしゃれに吐けるキャラクターとして、独自の立ち位置を確立している。
(日経エンタテインメント! 編集長・吉岡広統、白倉資大、ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント!2012年6月号の記事を基に再構成]
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