2012/12/14

集まれ!ほっとエイジ

高齢者が働きやすいよう3~4人で1人分の仕事

――柏市での取り組みについて教えてください。

 65歳になって会社から地域に戻ってくる人が増えてきます。これからは引退などと言わず、地域でもう一働きしてもらいたい。聞き取り調査をすると、外に出るのには、仕事があるのが一番いいと、特に男性の方は答えます。もう一働きしようという人のためにこれから地域で就労の場をつくっていくという課題を設定しました。

そういうことにふさわしいジャンルを4つ設定しました。「農業」「子育て支援」「高齢者や、お子さんを持ったお母さんたちに対する、買い物代行などの生活支援」「食」――です。

高齢者が行きやすい、高齢者が働きやすいレストラン。みんながそこで会話を楽しんでいる「わいわい食堂」をつくったりしています。4つの分野でコミュニティービジネスをつくっていこうとしています。農業であれば、地元の農業者が中心となって農業を展開する中に高齢者が入っていく。

ポイントは、ワークシェアリングです。一般的には週5日働きますが、高齢者の場合は年金もありますし、体力的に5日はきついし、やりたいことも多いので、3~4人で1人分の仕事をするのです。そういう形態を開発していく。

現実に農業に携わっている方、あるいは塾で子どもに英語を教えている方などがいらっしゃいますが、非常にいきいき働いていらっしゃいます。

――都会で失われてしまったコミュニティーを再構築しているんですね。

 地域のなかに入り込んでいって新しい人と人のつながりをつくる。私たちの大きな目標は人と人のつながりのある社会です。それをつくるための大きなシステムがこうした就労形態です。

高齢化最前線の都市でモデル作りに挑戦

――実験の舞台としてなぜ柏市を選んだのですか。

 理由の一つは東大の柏キャンパスがあるからです。

もう一つは柏市がAging in Placeに相当するような街の政策をもっていたからです。柏市とは協定を結んで、市とともに課題解決にあたっています。

――柏市の豊四季台団地では、サービス付き高齢者向け住宅の実験を始めるそうですね。

 都市の高齢化のなかでも典型的なのが豊四季台団地です。ここは1964年に開発されたUR(都市再生機構)の団地で、すでに、65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合(高齢化率)は40%になっています。都市の高齢化のはしりとも言えます。

その最前線で一つのモデルをつくろうということで、厚生労働省の政策である地域包括ケアを行おうとしています。地域包括ケアはAging in Placeと同じ考え方です。

地域で生活をし続けるというのは、基本的には自宅に住むということです。心身が弱っても自宅に住み続ける。本人、家族が望めば、自宅で亡くなることもできる。そのためには新しいサービスシステムが必要です。

豊四季台にサービス付き高齢者向け住宅を誘致しますが、その大きな特徴は在宅医療です。80代くらいで入院すると、病院は安静にするところですから、寝たきりになったり、認知症になったりして、帰れなくなることも多い。ですから、できる限り、生活の場に医療が及ぶというのが安心して住むための要素なのです。

柏市で、医師会の先生がきちっと在宅医療をやってくださる。しかもおひとりだけでは大変なので、グループを組んでいただく。そういった今後の医療の在り方の最新モデルに取り組みます。それを厚労省が進めている24時間対応の介護・看護と連携させることによって、ずっと住み続けられるような拠点をつくります。

こうしたサービス付き高齢者向け住宅を団地のまん中につくるんですけれど、在宅医療や訪問介護は周辺地域にも及びます。この拠点をつくることによって豊四季台地区全体を安心して住めるAging in Placeの街にしていきます。14年の年明けにこの拠点ができる予定です。

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