2012/12/14

集まれ!ほっとエイジ

高齢者の増加、雇用創出の契機に

――少子・高齢化が進むと、経済成長も難しくなるという見方があります。

 高齢者に対するケア、医療、あるいは少子化対策としての保育、子育て支援といったサービス分野は内需として位置付けるべきではないでしょうか。こうしたみんなが安心して過ごすためのシステムをつくる産業と、国際競争力のある産業をクルマの両輪として国の経済を回していくべきです。高齢者が増えるというのは困ったことではありません。税や社会保険の負担を引き上げていくのは、安心できる社会をつくるための負担であると同時に、雇用創出につながることであると考えるべきです。

――東大は09年から10年にかけて産学連携で、「2030年の超高齢未来に向けたロードマップ」を作成されました。

 年をとっても活動的に働ける場をどうつくっていくか、そして、その時の生活の質をどうすれば高くできるかということと、心身が弱ってきたときの社会のケアシステムをどう整備するかということを課題として議論しました。高齢になっても不自由なく目的の場所まで移動できる社会をどうつくるのか、街づくりをどうするのかといった問題も話し合いました。政府だけでなく、産業界が社会の大きな方向についての感覚を持っていかなければいけないと思うので、しっかり議論し、分野ごとにロードマップをつくりました。

新しい社会システム、十数年で作らないと手遅れに

――これまでは高齢化に対して何をしていいか分からないという企業が多かったようですね。

 高齢者及び高齢社会に対する基礎知識を企業とともに学び、方向性をそれぞれの企業に身に付けてもらいました。そして、自分たちの企業活動のなかで、何を大切にして、何を開発しなければならないのかを、それぞれに考えていただきました。企業の方はこの活動に入られる前と比べて、格段に超高齢社会への理解が深まりました。企業の具体的な活動はこれからが本番です。

新しい社会システムは、これから十数年でつくっていってもらいたいですね。逆に十数年でそれをやらないと手遅れになります。

年をとっても虚弱にならないようにするためには、歩き続けたり、地域で就労できるようにしたりすることが大事です。そして、お年寄りがにっこり笑ってよかったと思えるような社会にしたいと思えば新しいサービスも生まれます。ところが、「弱ったらおしまいだ」「お年寄りにお金をかけても価値はない」という社会では、新しいサービスは生まれません。新しい価値観を生み出すところから、様々なサービスや製品が流通し始めるんです。

都市部ではコミュニティー再構築が必要

――高齢者が住み慣れた地域のなかで、いかに元気に長い時間、生活できるようにするかということは大事なテーマだと思います。どんな試みをしているのか、教えてください。

 東大の高齢社会総合研究機構では、「Aging in Place」という方向性を目指しています。住み慣れた地域で老いる、という意味です。具体的には、住み慣れた地域でできる限り元気に、そして年をとって心身が弱っても安心して住み続けられるという概念です。都市の高齢化が典型的に進んでいる千葉県柏市でそういう研究をしています。

――これから高齢化が一段と進む大都市ではコミュニティーが崩壊したといわれます。地方都市ですとAging in Placeも可能なような気がしますが、東京は向こう三軒両隣も知らない、という人もたくさんいます。コミュニティーを再構築していくしかないのでしょうか。

 いままでの経済発展の過程で都市に移り住んだ人が、これから老いるんです。移り住んだ街というのは新しい街ですから、コミュニティーがもともとできていなかったところもあります。これからはコミュニティーができるような街づくりが必要だと思っています。

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