検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

価格も味もマツタケ以上!? 高級シイタケ食べてみた

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日本料理に欠かせないシイタケ。日常の食材としてスーパーなどで手ごろな値段で売られているが、最近、マツタケを超える価格の超高級ブランドシイタケも登場しているという。歴史をさかのぼると、数十年前まではシイタケはマツタケに比べてかなり高かったようだ。どんな味がするのか、昔を思い浮かべながら食べてみた。

1個4000円超のシイタケ

超高級ブランドシイタケの筆頭が、石川県の奥能登で栽培される「のとてまり」だ。1箱5個入り(500グラム)2万3000円――。2013年12月21日に金沢市中央卸売市場で行われた今季の初競りでは、1個4000円を超える値がついた。

一方、マツタケ1キロあたりの価格(2013年)は3万3208円(東京都中央卸売市場年平均価格)。500グラムあたりでは1万6604円だ。ご祝儀相場とはいえ、シイタケの価格がマツタケを上回った。

「のとてまり」は、生産者や石川県がつくる「奥能登原木しいたけ活性化協議会」がブランド化を進めているシイタケで、2011年に初めて出荷し今季が3シーズン目だ。珠洲市・輪島市・穴水町・能登町の2市2町で生産している。

日本きのこセンター(鳥取市)が昭和60年代に開発した肉厚・大型の品種「菌興115」を活用。原木シイタケの品種「Noto(のと)115」として生産を始めた。その中で、(1)笠の直径が8センチ以上、厚みが3センチ以上、巻き込みが1センチ以上(2)形がそろって円形に近く(3)割れなどがない――などの厳しい規格を満たしたものだけを「のとてまり」として認定している。

そもそも「のと115」は原木1本から1つ採れるか採れないかという貴重なシイタケだ。今季の収穫量はようやく1トンを超える見込みという。そのうち「のとてまり」として協議会が認定するのは45%程度と半分にも満たない。

大きさにびっくり

生産量が少ないため、現在の販売は金沢市の近江町市場など石川県内にほぼ限られている。旬は12月下旬~3月。シーズン中の同市場などでの販売価格は500グラム1万2000円程度で、終盤の現在は同6000~7000円程度だ。

マツタケより高いシイタケは、どんな味がするのだろうか。石川県の食材を使った創作料理店「こにたん」(東京・高円寺)の店長、小西隆彦さんに取り寄せを依頼した。待望の「のとてまり」が金沢から到着したとの連絡を受け、店に向かった。購入価格は「6つ(500グラム入り)で1万2000円」とのこと。1個あたり2000円だ。

店に入ると、室内に漂うシイタケの上品な香りに気付く。箱を開いた瞬間、大きさに一同度肝を抜かれた。普段この店で使っているシイタケ(この日は北海道産)と比べると体積で10倍以上か。大人の男性でさえ片手では持てないほどの大きさだ。

肉厚のブランドキノコとの対面に驚き、興奮やまぬ記者たちを尻目に、小西さんは調理を開始、(1)おでん(2)ステーキ(3)ホイル焼き(4)みそグラタン(5)天ぷら(6)スッポンのスープ――の6品が次々にカウンターに出てきた。

香り+濃厚な味 料理人「マツタケ以上の食材」

「アワビのようなかみ応え」(野菜ソムリエの女性)、「料理によっては茶碗蒸しのような柔らかさも感じとれる」(同僚の記者)。食べ慣れているシイタケとはまったく異なる、弾むような歯ごたえとその直後に口の中に広がる濃厚な味。ほおの内側に吸い付くような何ともいえない食感……。

小西さんは「のとてまり」について、一料理人の立場から「香りとともに味も備わっている。香りだけで味はほとんどないマツタケ以上の食材」とみる。

「のとてまり」だけではない。各地で高級シイタケ作りに力を乗り出している。「のとてまり」の基になった品種「菌興115」を開発した日本きのこセンターのおひざ元、鳥取県では4月にも生産者・行政・関係団体などで協議会を発足。3年以内に「菌興115」を使ったシイタケのブランド化を目指す。

きのこアドバイザーで日本椎茸農業協同組合連合会顧問(元会長)の小川武廣氏は著書「乾(ほし)しいたけ 千年の歴史をひもとく」(2012年、女子栄養大学出版部)の中で、日本でシイタケが食べられるようなったのは9世紀ごろ。「弘法大師(774~835年)が唐(中国)から帰国後、干しシイタケの食習慣を伝えたといわれる」と指摘する。

戦国時代までは大名など上流階級しか食べられなかった。庶民が食べるようになったのは、栽培が始まった江戸時代に入ってからだ。

シイタケの価格はマツタケの10倍だった

そのシイタケ、かつてはマツタケよりも高い食材だった。例えばマツタケ産地の一つ、三重県。県史編さん班の調べによると、明治44年(1911年)、1キロあたりの価格はシイタケ1円30銭に対してマツタケは15銭だった。価格差は10倍近い。シイタケだけでなく、米1升(1.5キロ16銭)と比べてもマツタケ1キロの方が安かった。昭和10年(1935年)になるとシイタケ3円85銭に対し、マツタケ87銭とその差は縮まるが、「昭和30年(1955年)ごろまではシイタケの方が高かったようです」(県史編さん班の吉村利男さん)。

マツタケの安さを物語るこんなエピソードもある。「松茸(ものと人間の文化史)」(有岡利幸著、1997年、法政大学出版局)によると、国内有数のマツタケの産地、京都では大正時代ごろまで「マツタケが邪魔になるので、けっとばして歩いたといわれるほどだった」という。同じくマツタケがよく採れた山口県の瀬戸内海の小島で育った主婦(75、福岡県在住)は「子どものころマツタケは近所にたくさん生えており、いためて食べていた」と話す。

戦後の燃料革命で価格が逆転、輸入物が追い打ち

なぜ、価格が逆転したのか。それには家庭で使う火力が、薪や木炭からプロパンガスなどへ変わった戦後の燃料革命が大きく影響している。

まずシイタケについて。「キノコの事典」(中村克哉編集、1982年、朝倉書店)は、シイタケの生産量が昭和30年代から大きく増えた一因として「木炭原木が全面的にシイタケに振り向けられた」ことを挙げる。シイタケの原木のコナラやクヌギは木炭の原木としても優れており、競合していた。燃料革命で木炭の需要が急減し、その分の原木がシイタケ栽培に使われるようになった。

マツタケは、繁殖の適地となっているアカマツ林が燃料革命で荒れたのが原因のようだ。燃料となる薪や松の葉を集めに行かなくなり、林床に下木や草が茂るようになった。「林地の栄養分は多くなったけれど、やせ地を好むマツタケ菌にとっては住みにくい環境となった」(「松茸(ものと人間の文化史)」より)。人工栽培もうまくゆかず、価格が上昇した。

家庭料理の中での位置づけも変わった。シイタケはおせち、ちらし寿司など「昔はハレの料理に欠かせなかった。それゆえ長い間、高級食材の地位を保っていた」と小川武廣さん。食の多様化とともにシイタケの存在感も薄れ、「高級食材の座からも退いていった」。

そこに1987年ごろから国産の半値以下の中国産の干しシイタケの輸入が追い打ちをかける。干しシイタケは慢性的な供給過剰状態に陥り、価格低迷が続いている。

シイタケは春も旬

キノコは秋の味覚のイメージが強いが、春~初夏に旬を迎える種類も少なくない。気温が8度くらいで発生し、8~20度くらいで成長するためで、シイタケもその一つだ。春と秋の2つの旬があり、春に採れるシイタケは「春子(はるこ)」とも呼ばれ、冬の寒さを耐えて成長したので、身が締まって香りがいいのが特徴だ。

キノコが旬の春。3月4日に服部栄養専門学校(東京・渋谷)で「きのこ料理コンクール全国大会」(日本特用林産振興会主催)が開かれた。全国から2331人が応募、予選を勝ち抜いた11人が挑んだ。1位の「林野庁長官賞」を受賞したのは、茨城県の高校生、石崎真衣さんの「にこいち揚げ」と長野県のJA職員、竹内清美さんの「えのきとなめこのシュウマイ~ほんのり柚子(ゆず)~」だった。

11人の参加者のうち、高校生7人、料理専門学校生1人が参加し、10人がシイタケを素材に使用した。「かつてシイタケが高級食材だったことを知らない若い人にアピールできる絶好の機会となった」(日本特用林産振興会)

価格が再度逆転する日は来るか

2013年12月にユネスコが「和食」を無形文化遺産に登録した。「低カロリーでビタミン類が豊富なキノコは和食には欠かせない。シイタケをはじめ国産キノコをぜひ世界に知ってもらいたい」(服部津貴子・服部栄養料理研究会会長)と関係者の期待も高まる。将来、マツタケの人工栽培が成功すれば、マツタケとシイタケの価格が再度逆転する日がくるかもしれない。(竹内太郎)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_