サバ缶でやせられるらしい――。テレビのダイエット特集の影響でこんな情報が飛び交ったこともある。本当なのだろうか。実はダイエット効果が期待できるのは青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)という成分で、なにもサバの水煮缶だけに限ったことではない。そもそも、EPAはなぜダイエットに効果的なのか? EPAのさまざまな健康パワーについて、日本水産のファインケミカル事業部でEPA研究に携わるジュネジャ・プラティークさんに聞いてみた。
EPAが運動によるダイエット効果を高める
EPAとは、健康維持に欠かせない「必須脂肪酸」の一つ。体内ではほとんど作ることができないため、食事などから必要量を補う必要がある。主に青魚に多く含まれる成分で、さまざまな健康効果がある。なかでも血液中の中性脂肪を減らすほか、血液中の総コレステロールを抑え、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増加させて動脈硬化を防ぐはたらきが知られている。EPAは高脂血症や動脈硬化の治療薬としても応用され、さまざまなタイプの健康食品も開発されている。
EPAは血液中の中性脂肪を減らすだけでなく、運動と組み合わせると体脂肪減少を促進するという実験結果もある(図1)。過体重の男女30人に週3回、45分間のウォーキングを12週間続けてもらったところ、「EPA+ウォーキング」を実践した人は、「プラセボ(偽薬)+ウォーキング」に比べて体脂肪の減少幅が大きく、筋肉などの増加幅も大きかった。