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働き方・学び方
僕たちはどう働くか

2014/3/18

僕たちはどう働くか

CBMは、地中に埋まった樹木が石炭になる際に発生したガスが炭層に残ったものです。夕張を含む石狩炭田には、日本で最も多くのCBMが埋蔵されており、そのなかでも夕張には約77億立方メートルものCBMがあるといわれています。現在、日本の天然ガス生産量は約33億立方メートル(2011年)で、自給率はわずか約4%。ほとんどを輸入に頼っています。世界ではシェールガス革命などにより天然ガスの価格が下落しているのに、日本は産出国から足元をみられるかのごとく高い価格でガスを輸入しているのが現状です。

一方で、夕張にある約77億立方メートルのCBMをわかりやすく言い換えると、夕張の全世帯(約5600世帯)が1年間に使用する電気や灯油などのエネルギー量で約1500年分になるといわれます。

CBMが多く埋蔵される清水沢地区の山をのぞむ

一番の課題は試掘。CBMの埋蔵量などについて事業化する前に、より正確なデータを取ることが必要だからです。ただ、試掘する費用が日本は海外と比べ高く、1000メートル程度を1本掘るのに約1億円のコストがかかるとされています。お金をどのように工面するかが現在の課題です。

このエネルギーをもとに夕張に新たな企業が集まり、雇用が生まれ、安い電力が市内の企業や家庭に提供される。かつての炭都夕張と違い、エネルギーの生産地にとどまらない、地域資源の地産地消は夕張再生の大きな力になると思います。夕張市は事業主体として電気などをつくって売るわけではないのですが、地域エネルギーの買い取り制度の創設や豊富にある市有地の提供などの支援を考えていて、かつて命を奪ってきたガスを今の世代、そして次の世代の希望の光にしたいと思っているのです。

ズリ山を再生

再生する力というと、最近もう一つ可能性が出てきました。夕張にはいたるところに植物の生えていない真っ黒な山、通称「ズリ山」(主に九州の炭鉱跡地では「ボタ山」という)があります。石炭を掘った捨て石をうずたかく積んだ山で、使い道がないだけでなく自然発火する危険や土砂崩れの危険もある、いわば「厄介者」でした。このズリ山を去年から「売れる」財産と発想を転換し、ズリ採取事業を開始しました。

選炭技術が発展していなかった古いズリ山ほど、石炭が多く含まれています。主に製紙会社など大きな火力を使う企業は、熱を上げすぎないよう調整するため、ズリに近い石炭を海外から買っていました。そこで、その海外炭に代わり、安価な夕張のズリを売ることを考えたのです。市は申請のあった業者にズリを採取することを許可していて、15年から20年までで約3000万円の新たな歳入を見込んでいます。採取業者にはズリを取った跡地に植物を植え緑化するところまで依頼しています。新たな収入になり、土砂崩れの危険も減り、最後は緑化事業につなげる。一石二鳥どころか、一石三鳥の新しい発想です。

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