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関東で大騒ぎになった「視界不良」 黄砂と煙霧どこが違う? 気象予報士 伊藤みゆき

2013/3/12

3月10日午後2時前、都心はそれまでの青空が一転、急に見通しが悪くなりました。陽射しが遮られ、それまでも多く飛んでいた花粉以上に目や鼻やのどに違和感を感じた人も多かったようです。その時間帯、twitterやFacebookのタイムラインは「黄砂? 空が黄色い!!」「空が濁ってきて、目が痛い」など、盛んにその情景を写した写真とともに埋め尽くされました。

気象庁の観測では午後1時半から午後3時10分にかけて「煙霧(えんむ)」を観測。肉眼で水平方向に目標物が見える最大距離である視程は、一時2キロメートルまで落ちました。視程は、大気の混濁の度合いを表す尺度の一つですが、例えば、冬の快晴時で東京から富士山が見えるようなときの視程は約100キロメートルほどです。

この「煙霧」。昨日から今日にかけて、その意味や黄砂との違いについて、気象庁の天気相談所にも問い合わせが相次ぎ、職員の皆さんは休む間もなく対応に当たったそうです。

「煙霧」は天気の一種です。日本の天気は国内用に15種類に分けられていますが、「煙霧」は「晴れ」や「雪」と同様天気を表す言葉なのです。15種類の中には、皆さんがよく聞く「快晴」「晴れ」「霧」といった言葉や、「砂じん嵐」などあまり耳にしない言葉もあります。「煙霧」はその一つで、「晴れ」や「雪」と同様「天気」なんですね。

煙霧の定義は「肉眼では見えないごく小さい乾いた粒子が大気中に浮遊して視程が10キロ未満の状態」とされています。「ごく小さい乾いた粒子」には、海塩粒子なども含まれるため、強風の海辺で、上空は青空なのに水平方向は白っぽく霞んでいるときも「煙霧」となります。波しぶきが蒸発して塩分が空気中に漂って視界を悪くしているのです。

煙霧を通すと太陽光は黄色みを帯びたり赤っぽい色に見えたりするため、「黄砂では?」と思われますが、黄砂と煙霧は別のものとして扱われます。明らかに「大陸の黄土地帯などが発生源」と断定されるものが「黄砂」ですが、発生源や浮遊しているものが特定できない場合は「煙霧」になります。「黄砂」は先ほど紹介した15種類の「天気」ではありません。「煙霧」と呼ぶ現象の一部が、その発生源によっては、「黄砂」と呼ばれ、区別されるのです。

多くの方が知っている黄砂現象は、東アジアの砂漠域(ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など)や黄土地帯から、強風により大気中に舞い上がった黄砂粒子が浮遊しつつ降下する現象。今回は、この黄砂予報と同時期に発生した煙霧だったことから多くの方がそれを黄砂だと考えたのだと思いますが、9日から10日にかけて北陸や甲府までで観測された黄砂は、関東までは飛来しませんでした。今回、東京の空を霞めたのは北関東が発生源の土ぼこりとみられています。

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