LCCを上手に乗りこなして、オトクな飛行機旅
2013年働き女子の夏休み
最初に知ろう「なぜLCCは安いのか?」
LCCは、従来の航空会社と比較して、圧倒的な安さが魅力。LCCを乗りこなすには、この安さの秘密を知っておくことも大切です。
キーワードは「スリム化」と「効率化」。2つについて、詳しく見ていきましょう。
まずは「スリム化」です。従来の飛行機では、座席指定や荷物の預け入れ、機内での飲み物などのサービスは無料でした。しかしLCCでは、スリム化のために、それらのサービスをオプションとして有料化しています。
また人件費をスリム化させるために、同じ内容を予約する場合でも予約方法によって手数料が異なる形式を採用しており、WEB経由での予約が一番安くなっています。
もう1つのキーワード、「効率化」は、運航面に表れています。まず、一度に多くの人を運べるように、1機あたりの座席数を増やしています。そのため、1席あたりのスペースは狭くなっています。
さらに稼働率を高めるため、基本的には2つの空港間をピストンで運航。空港での待機時間を短くし、早朝から夜遅くまでタイトな運航ダイヤが組まれています。
ほかにも、機材を統一して整備費を抑えたり、空港利用料が安く中心地から離れた空港(成田空港、関西国際空港)を利用したりなど、さまざまなスリム化と効率化の工夫の積み重ねがあってこそ、初めて安い料金が実現されます。
そのため、利便性は従来の航空機とは違うということを理解したうえで、利用することが必要になってきます。
具体的にここが違う! LCCの基本
それでは、LCCでは、どんなことが従来の航空会社と異なるのでしょうか。以下が異なるポイントです。
◇ 搭乗券の価格は、基本的に売り出し開始日が一番安い。その後は座席の販売状況に応じて日々変動する。
◇ いくつかの価格体系があるが、一番安いものは取り消し不可。変更にも数千円の手数料がかかる。
◇ 運賃には予約手数料や支払手数料、空港利用料などが別途かかる。
◇ 人を介するサービスは高くなる。予約手数料も例外ではなく、WEB予約が一番安く対面予約は高い。
◇ 座席指定、受託手荷物などは有料。航空会社によっては、受託手荷物の料金が、重さで変わるケースも。また搭乗日に窓口で手配をすると手数料が高い。
◇ 座席はピッチが狭いため、やや窮屈。窓側の席は、通路への出入りもしにくい。
◇ チェックインの締め切り時間が早い。遅刻した場合は、チケットは無効になる。
◇ 機内での飲み物は有料。飲食物の持ち込みができないエアラインもある。
◇ 遅延や欠航のリスクがあり、万一の際は自社便への振替か、払い戻し対応となる。
これだけ違いがあり、その多くは安さとの引き換えになる制約事項です。理解しておけば、予約してから、乗ってから、「こんなはずじゃなかった…」という事態を防ぐことができます。
快適な旅のための、LCC乗りこなし術5
従来の飛行機とさまざまな違いがあるLCC。利用時に困らないための乗りこなし術をご紹介しましょう。
【1】 価格の安い早朝便・最終便を予約する際は、空港までのアクセスを確認
販売状況に応じて変動するLCCの価格。一日の中で比較的安いのが、早朝便と最終便となります。
ただし、安いから…と飛びつく前に、確認したいのが、自宅から空港、あるいは空港から自宅までのアクセス。中心部から離れた空港を利用しているため、公共交通機関では間に合わないというケースも多々あります。
マイカー利用の場合は駐車料金、空港近くに前泊・後泊する場合は、宿泊料金も必要なことを踏まえて判断を。
【2】 オプション手配も含め、予約はWEBから一括で行う
座席指定や、受託預入荷物などは、座席を予約する際に一緒に行うようにすること。後で追加や変更をすると手数料が高くなります。さらに荷物は、重さで預入料金が異なるLCCもあります。その場合は多少余裕をもった重さで手配をする方が賢明です。
搭乗日当日、超過してしまうと、超過料金はびっくりするほど高いので注意が必要です(エア・アジア・ジャパンの場合、当日超過1kgにつき1500円の超過料金)。
また大前提ですが、予約手配は手数料の安いWEBから行いましょう。対面手配では手数料が高くなります。
【3】 遅刻は厳禁!当日は余裕をもって空港へ
効率を重視するLCCでは、チェックイン時間を過ぎるとシビアに手続きを打ち切ります。WEBやモバイルからチェックインをあらかじめしておきましょう。
受託手荷物がある場合は、さらに締め切り時間が前倒しになるLCCもあります。締め切り時間を必ず確認し、余裕をもって到着をするようにしましょう。
【4】 LCC専用ターミナルなど 空港内で時間がかかる場合に注意
LCC専用ターミナルがある空港は、通常のターミナルからバスなどで移動が必要になります。また、そうでなくてもLCCのカウンターは空港のわかりにくい場所にあることが多いです。
あわてないためにも、あらかじめホームページなどでしっかり場所と空港内での移動時間をチェックをしておくことが大切です。
【5】 欠航や遅延のリスクがあるため、万一の対策は各自で準備
就航開始時から比べると、各社とも随分、欠航や遅延の状況は改善されてはいます。ただギリギリの数の機材、タイトなスケジュールで運航しているLCCでは、残念ながら欠航や遅延のリスクは常にあると思っていた方がよいでしょう。
もちろん、欠航や大幅な遅延(目安は2時間以上)の際には、「自社便への振替」か「払い戻し」という対応をしてくれます。ただ他社便への振替はなく、自社便です。また自社便といっても、ピストンで運航しているため、すぐに振替して搭乗するということが難しいのが現状。そのため、旅行計画の見直しをせざるを得なくなるケースもあります。
対策としては、到着日のスケジュールは余裕をもって計画をすることです。さらに、欠航となった場合の代替案(他の交通手段、別日程の準備など)を頭の片隅に準備しておくことも大切です。
逆に、どうしても遅れては困る場合は、LCCの利用自体をどうするか、慎重に判断をした方がいいでしょう。
さらにお得に旅するには、タイムセールを狙って!
制約はあるものの、圧倒的な低価格で飛行機の旅を楽しめるのは魅力的ですよね。また当日でも空きがあれば予約できるので、急な休みでも、思い立ったらすぐに旅立てるのもLCCのメリットです。便利な点と利用時のコツを知って上手く乗りこなしましょう。
「思い立ったら旅立つ!」を実現したいなら、各LCCのSNSをフォローしたり、メールマガジンの購読をしておくのがおすすめです。残席状況によって、あるいはさまざまなイベントに合わせて、不定期で激安セールの案内が配信されるのです。
もともと料金が安いLCCですが、さらにお得に乗ることができます。価格や販売路線などは、都度異なりますが、過去には数百円という航空券が販売されたことも! 販売当日に発表されるケースが多いので、情報を見逃さないようにしましょう。
「ジェットスター・ジャパン」
http://www.jetstar.com/jp/ja/home
「ピーチ・アビエーション」
http://www.flypeach.com/jp/ja-jp/homeJP.aspx
「エア・アジア・ジャパン」
http://www.airasia.com/jp/ja/home.page
(ライター 村田和子)
この人に聞きました
旅行ジャーナリスト。総合旅行業務取扱管理者(国家資格)。各種媒体で、女性目線、旅行者視点の情報提供を行うほか、旅行サイトや宿のコンサルティング、講演活動なども行う。公式ブログ:http://kazukomurata.seesaa.net/
[nikkei WOMAN Online 2013年6月27日掲載]
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