同じ気温でも寒さ変わる「体感温度」の秘密気象予報士 伊藤みゆき

気温をぐっと下げる「放射冷却」とは?

次に空気が冷え切った寒さです。これはいわゆる「底冷え」というパターンです。晴れて風が弱い夜は、放射冷却が強まって気温がグッと下がります。放射冷却とは、地表面の熱が放射によって奪われ気温が下がる現象です。

傾向としては、冬型の気圧配置が緩んだ翌朝が、気温の底になることが多いです。天気図では等圧線の数が少なくなることでわかります。4年前、2008年の東京は強風が弱まった12月27日に初氷を観測しています。この底冷えの日は、朝さえ乗り切れば昼間はしのぎやすくなります。

寒い朝を味わった分、日差しの下では実際の気温以上に暖かく感じられます。最高気温だけみると前日と同じ10度でも、最低気温が前日より低いことが多いので、気温の変化幅が大きく、体感温度が一段と高くなります。最高と最低の気温差が大きいと予想される日は、薄手の素材の服を重ねて、脱ぎ着で調整するのが良いでしょう。

朝は放射冷却で氷点下5度近い冷え込みだが、昼間は12度と大幅に上昇(気象庁HP 時系列予報より

おしまいに、日差しが無い寒さ。底冷えの日よりも朝の冷え込みが弱いので油断してしまいますが、昼間も気温は横ばい。朝よりも寒くなったように感じます。さらに雨や雪が降り出せば、気温自体も下がることが多く、傘を持つ手が凍えてしまいます。

昼間は気温が横ばいで、深夜から冷たい雨や雪の予報。雨や雪が降ってさらに気温が下降(気象庁HP 時系列予報より)

晩秋から初冬のこの時期は、真冬よりも日々の寒暖の変化が大きいという特徴があります。日本付近を周期的に低気圧や前線が通過して、そのたびに暖気や寒気が短い周期で流れ込み、太平洋側では晴れ→曇り→雨や雪→晴れという変化をします。そのため、こうした3つの寒さが代わる代わるやってきて、寒さを感じさせるのです。

東京では1月になってしまえば「最高気温9度」が当たり前でも、12月初めだとかなり寒く感じます。寒さに体が慣れていないこの時期、曇りや雨の日は「オシャレより体調優先」と、真冬のような服装を選ぶのがおススメです。

「風の強さ」「空気の冷たさ」「日差しの有無」で変化する「寒さの性格」を知って、賢く寒さを乗り切りましょう。

伊藤みゆき
気象予報士。証券会社社員を経て、気象予報士に。日本テレビ衛星「NNN24」の初代気象キャスターに合格。現在はNHKラジオ第一「ラジオあさいちばん」気象キャスター。 光文社の雑誌『STORY』などで連載を持つなど、幅広く活動中。

[nikkei WOMAN Online 2012年12月5日掲載]

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