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変わるか?日本の昇進 短時間勤務の女性役員が誕生

女性活用&業績アップの決め手(1)

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NIKKEI STYLE

 日本の成長には、女性の活躍が欠かせない――。2013年4月、安倍晋三首相がこうスピーチをして話題を呼んだ。では、企業にとってはどうか。日経マネー編集部は今秋、独自の調査をもとに、「業績」でも「女性活躍推進」でも成果を上げる企業10社を「日経マネーなでしこ銘柄」として選定。「女性が生き生きと働き、生産性が高い」なでしこ銘柄を分析したところ、その強さの秘密が浮かんできた。連載で、その秘密を紹介していこう。第1回は「残業ゼロでも昇進できる」組織。なぜ、これが業績向上につながるのか――。

日経マネーが選んだ「なでしこ銘柄」10社はこれだ

「日経マネーなでしこ銘柄」10社(上の図)のうちの1社であるカルビーには、この春「短時間(時短)勤務の役員」が誕生した。

「仕事は長くても週40時間までにね」

2013年4月に執行役員になった中日本事業本部の本部長、福山知子さん(46)は、昇進直後に松本晃会長から、こんな言葉をかけられた。

「労働時間ではなく、成果をみる」「優秀な人なら性別、年齢、国籍関係なく活躍してもらう」――、2008年にジョンソン・エンド・ジョンソンから招かれた松本会長は今、先頭に立って改革を進める。その成果のひとつが、時短勤務を続ける福山さんの執行役員登用だ。

福山さんは入社以来、一貫してマーケティング畑を歩んできた。10年前、第1子の育休中に課長職試験を受けて合格、3年前に中日本事業本部のマーケティング部長となった。この10年、子育てのために2回の育休を取り、復帰後は約1時間の時短勤務を続けながらも昇進。執行役員の内示を受けたとき「えっ、でも私は時短勤務を続けますけど」「いや、そのままの働き方でいいから」といったやりとりがあったという。

とはいえ、短い時間で成果を上げるのは簡単ではない。福山さんの場合、毎日午後4時半に仕事を切り上げるため、「いつも必死で、迷っている暇がなかった。お陰で判断が素早くなった」と言う。いまでは近畿、中部地方の3つの工場、2つの支店を統括、850人の部下を抱えて中日本エリアの売り上げの責任を負う。ほぼ全員年上の男性という部長10人を束ねるには、時間が足りない。「コミュニケーションの取り方は、正直言って今も悩んでいる」。役員になりコーチングを受けるようになり、「メールだけではだめだ。なるべく面と向かって話す。無理ならすぐに電話をする」ことの大切さに気づき、少しずつ実行に移しているところだ。

日経マネーが選んだ「なでしこ銘柄」調査の詳細
【選考方法】
(1)調査対象を500社に絞る;月刊誌『日経WOMAN』(日経BP社)が2013年1月中旬~2月中旬に行った「2013年 企業の女性活用度調査」の回答企業500社を、女性活躍推進の情報開示に積極的な会社とみなし、これを調査対象とする(日経WOMAN調査では、東証1部・2部、大証、名証の上場企業と従業100人以上の新興市場上場企業、外資系含め有力未上場企業4329社に調査表郵送)。
(2)財務データでスクリーニング;500社から上場企業を抽出し(計350社)、財務データを分析(連結を優先して採用)。「効率性」「成長性」「安全性」「生産性」の4指標でスコアを出す。全上場企業の中での偏差値50以上の企業180社に絞る。
(3)女性活用推進度を4つの指標でスコア化、上位10社を選ぶ。
【調査対象】
 財務データで絞った180社に、女性活用度調査票を送付。回答は2013年3月末までの「連結ベース」もしくは「連結会社の中で最も従業員数が多い中核企業」の情報で回答を依頼。調査期間は2013年9月中旬~10月初旬。有効回答数は76社、回答率42.2%。
【採点方法】
 回答を「機会均等度」「管理職登用度」「ワークライフバランス度」「女性活用度」の4指標で採点した(回答データは原則として2013年4月1日現在)。最高得点の企業を1とし、相対評価で指数化。4指標の指数の合計点を出す。無回答はノースコア。なお採点時に、労働係争などCSR上のトラブルを抱える企業は減点した。合計点で上位10社を「日経マネーなでしこ銘柄」とした。
【審査員】
 米シカゴ大学教授山口一男氏、日興フィナンシャル・インテリジェンス専務取締役 宮井博氏、東レ経営研究所研究部長兼主席コンサルタント渥美由喜氏

女性の昇進は、残業可が「踏み絵」とされた

従来の日本企業では、残業OK、転勤もいとわない「無制限社員」の男性を前提に組織がつくられてきた。「無制限」で働くか否かで組織への忠誠心が問われ、それが昇進の条件とされてきた。しかし、これでは子育てや介護など家庭責任を負う社員は、昇進昇格の機会が限られてしまう。

シカゴ大の山口一男教授の分析によると、日本企業で女性が課長に昇進するにあたっては、男性以上に残業することが条件になっている。「女性を昇進させるにあたり、男性以上に残業可を『踏み絵』としてきた可能性が高い」と山口教授は見ている。「企業は管理職への昇進条件として、会社の都合に合わせて恒常的に長時間労働を行う働き方を受け入れるかどうかを、一種の『踏み絵』とする慣行をやめるべきだ」と指摘する。これをやめない限り、有能な女性の活躍は阻まれてしまうとする。

「日経マネーなでしこ銘柄」企業では、こうした「踏み絵」は取り除かれつつあるようだ。日産自動車では、子育て中の「時間制約社員」も、管理職に登用してきた。子供3人を育てる寺田美穂さん(44)は、国内に5人しかいない商品企画責任者の1人。2013年11月に発表された高級スポーツセダン新型「スカイライン」の商品企画などを手掛けてきた。新車発表前は徹夜続きかと思いきや、月の残業時間は3時間ほどとか。5人のチームを率いる課長職ながら、「私の残業が一番少ない」と苦笑する。

多忙な課長職と子育てを両立させるため、コアタイムなしのフレックスタイムをフルに活用している。月単位で労働時間を満たせばいいため、1日6時間働く日もあれば、9時間働く日もある。残業はほとんどできないだけに、「時間当たり生産性は常に意識している」と言う。

社員一人ひとりを「時間当たり生産性」できちんと評価するようになれば、子育て社員にも昇進昇格のチャンスが広がる。従業員が「生産性」を意識するようになれば、業績向上にもつながりそうだ。

「なでしこ銘柄」が、「生産性」が高い理由

実際に、日経マネーなでしこ銘柄の財務データを分析したところ、事例を裏付けるような結果が得られた。

日興フィナンシャル・インテリジェンスの分析によると、「なでしこ銘柄」10社の財務状況は、調査対象とした上場企業350社平均よりも、総合的に優れていることが明らかになった(下図)。財務は「効率性(ROE=自己資本利益率)」、「成長性(PBR=株価純資産倍率)」、「安全性(自己資本比率)」、「生産性(1人当たりの売上高)」の4つの指標で分析。その中でも「生産性」で、なでしこ銘柄は平均を大きく上回ることが分かった。

~日経マネーが選んだ「なでしこ銘柄」の財務を4つの軸で分析~

【財務データの分析方法】
●対象: 全上場企業を対象とする。スコアは、過去3年分(2011~13年)の財務データを用いて計算。
●計算方法
(1)各銘柄の過去3年分の指標について平均値を計算。※3年分データがない場合は、その期間存在し得るサンプルの平均値を採用
(2)上記(1)の平均値について東証17業種により産業調整を行い、各指標について標準化。 その値から各指標の偏差値を計算
(3)上記(2)で標準化した各指標を総和し、再度標準化。その値から、総合の偏差値を計算
[注] 債務超過(自己資本・純資産がマイナス)となった場合、計算対象としない。全上場企業のうち、2013年8月末時点で上場している企業をスコア計算の対象とする
分析:日興フィナンシャル・インテリジェンス社会システム研究所

なぜ、なでしこ銘柄の生産性が高いのか。複数の要因があろうが、連載初回の今回は「残業ゼロでも昇進できる」というなでしこ銘柄の特徴に着目したい。

1つ目の仮説は「(残業ゼロの)子育て社員を戦力外とせず、人材を生かし切る」ことで生産性がアップするというものだ。

前出のカルビー執行役員の福山さんは、第1子の育休から復帰し時短勤務をするに当たり、入社間もない若手と同じ伝票整理の仕事から再出発した。日産自動車の寺田さんも復帰後に評価を下げられ、悔しい思いをしたこともある。しかし仕事ぶりをよく見ていた上司はそのままにしておかず、再びチャレンジできる仕事を与えた。優秀な人を登用するなら、「無制限社員」の男性のみならず、「時間制約社員」の女性も候補者に加えれば、人材プールは倍になる。

2つ目の仮説は、「時間制約」のある女性管理職が増えることで、職場に「時間あたり生産性」の意識が高まる効果だ。

日産の寺田さんは、子育て中の男性部下を評価するにあたっても「時間当たり生産性でみる」と、組織の文化をジワジワ変えている。またカルビーの福山さんが出席する会議では「時間を早めに設定し、効率よく進行するようになった」と人事総務本部長で執行役員の江木忍さんは評価する。業務の無駄が省かれ筋肉質な組織になる、そんな業務改革が進む可能性が高い。

いずれも仮説でしかなく、女性活躍推進と生産性向上との因果関係を証明することは難しい。しかし「業績を伸ばすのは経営者の責任。そんな因果関係を問う必要はない」とカルビーの松本会長は言い切る。「右肩上がりに成長すれば、ダイバーシティ推進は正しかったとなる」というのだ。

女性社員が活躍すれば業績が上がるといった、単純な図式は描けない。しかし、優れた経営戦略のもとでは、女性が活躍するほど業績が上がるといえそうだ。その一つの指標となるのが「残業ゼロでも昇進できる」組織か否かである。

(日経マネー 野村浩子)

[日経マネー2014年1月号の記事を基に再構成]

[参考] 日経マネー2014年1月号では、「安心老後へ目指せ1億円」「日経マネーが選ぶ『なでしこ銘柄』2014」などを掲載。「2014勝ち株カレンダー」「最新 金情報」の付録を同梱する。

日経マネー 2014年 01月号

出版:日経BP社
価格:730円(税込み)

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