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東京ふしぎ探検隊

電車のつり革、高いか低いか 座席にも工夫の歴史

2013/7/12

小田急の新型車両「4000形」。座席前のつり革は、1、2本おきに低いものが混じっている。手すりは垂直ではなく、通路側に曲がった形状を採用した

混雑した電車の中で、高いつり革に手を伸ばす人を見かけることがある。背が低い人にとって高すぎるつり革は苦痛だが、かといって低すぎると立ち上がったときにぶつかったり、立っている人の頭に当たったり。つり革の最適な高さはどのくらいか。座席や手すり、網棚はどうか。使いやすい車内設備を目指す鉄道各社の試行錯誤を追った。

■小田急、「つり革は低すぎてもダメ」

小田急電鉄は2012年、新型車両「4000形」のつり革の高さを5センチ引き上げた。4000形のつり革は座席前のレーンに高低2種類が並ぶ混合型だったが、低い方をなくして高い方に統一したのだ。「低すぎて頭に当たる人が出てしまった」。運転車両部の鈴木剛志課長代理は変更の理由を語る。

同社の車両では、つり革の高さは床から持ち手まで163センチが基本。高齢者や女性、子供に配慮して徐々に低くしてきており、07年に登場した4000形ではさらに158センチのつり革を加えた。158センチといえば成人女性の平均身長。ぶつかりやすい、との声が出た。

「高いとつかまりにくい人がいて、低いとぶつかる人が出る。バランスが難しい」。高さを工夫すべきか、それとも素材を変えて「ぶつかっても痛くないつり革」を目指すべきか。最適解を求め、鈴木さんは現在も研究中だ。

■東急も「低すぎ」を修正 JR東は「低→高→低」

つり革の高さはどうすればいいのか。鉄道各社はこれまで、試行錯誤を繰り返してきた。

小田急の「4000形」は高低2種類のつり革を備えていたが、2012年以降は改修時に高いつり革に変更している

小田急と似たパターンが東京急行電鉄だ。1975年以降、座席前のつり革は177.8センチにしていたが、99年に登場した新型車両では163センチと153センチの2種類を組み合わせた混合型を採用した。しかし2006年には低い方のつり革を5センチ引き上げ、158センチに。やはり「下げすぎた」ようだ。

JR東日本の車両は「低→高→低」という経路をたどった。旧国鉄時代は座席前は163センチが基本だったが、成人男性の平均身長が伸びたことを考慮して、1993年には170センチに引き上げた。

しかし今度は女性や高齢者からの不満が高まり、2000年には一部車両で168センチに下げた。05年にはさらに163センチの車両も登場。女性専用車両では158センチのつり革も誕生した。

一方、西武鉄道は試行錯誤を繰り返している。

1988年導入の4000系までは座席前は161.4センチが基本だった。92年にこれを163センチに引き上げたものの、93年登場の新型では再び161.4センチに戻す。

ドア付近には座席前より高いつり革が並ぶ(東急電鉄の5000系車両、東急提供)

しかし2000年には再度163センチに引き上げ、08年には逆に160センチまで下げた。「ちょうどいい高さ」はなかなか見つからないようだ。

各社ともドア付近では高めのつり革を採用している。180~182センチのところが多い。西武は08年導入の車両ではそれまでの182センチから15ミリ下げた。通路の途中にあるつり革も同じ高さだ。ドアや通路のつり革は増える傾向にある。

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