入試問題でわかる 名門中学が求める子ども(1)武蔵中「おみやげ問題」教育ジャーナリスト おおたとしまさ

問2 この磁石の板が、たくさんの小さな棒磁石が並んでできているとすると、どんな並び方をしていると思いますか。右図の○の部分を大きくしたものとして、次のア~エの中からふさわしいと思うものを1つ選んで記号を○で囲みなさい。また、磁石の板を動かしたときの様子をもとに、選んだ理由を説明しなさい。図をかいてもかまいません。

「磁石の板が、たくさんの小さな棒磁石が並んでできている」という前提がちょっとイメージしづらい。そこで模式図がある。

アは、N極の列とS極の列が、長い辺と平行に、交互に並んでいる。

イは、N極とS極が1個ずつ、縦横どちらにも交互に並んでいる。

ウは、N極の列とS極の列が、短い辺と平行に、交互に並んでいる。

エは、一面N極である。

「落ち着いて、それぞれの図の意味することを理解できなければ、先には進めませんね」と島崎教諭。

さて、問1の実験結果から、磁石の板には、なんらかの方向性があることがわかっている。

そのことから、察しの早い子なら、N極とS極の方向性がないイとエが答えである可能性はないことがわかるだろう。

イは長い辺方向にも短い辺方向にもN極とS極が交互に並んでおり、エは全面N極。いずれもN極とS極の配列に方向性がない。

しかし、アかウを決めるには、さらなる実験が必要だ。

ただし、問2に関しては、具体的な操作の指示はない。

問1では、指示通りに実験をし、その結果を他人にもわかりやすくまとめる力を試した。問2では、仮説をもとに、それを確かめるための実験方法を自分で考えなければならないわけだ。

「ここで、一番上の問題文の『2枚を重ね合わせていろいろと動かしながら』という部分に立ち戻り、自分でいろいろ動かしてみることができるかどうかがポイントです」と島崎教諭。「アとウの違いは、N極とS極の並ぶ方向ですから、どうやったら方向を確かめられるか、動かし方を考えてみてほしい」

そこで、長い辺同士、短い辺同士が重なり合うように、2枚をピタリと重ね合わせ、まず短い辺方向に引いてみる。 すると、磁石の引き合う力は感じながらも、なめらかに滑る感触を得ることができる。一方、長い辺方向に引いてみると、ガタガタとした不連続な抵抗を感じる。 まるで短い辺と平行に、細かい溝があるようだ。このことから、N極の列とS極の列は、短い辺と平行に並んでいると考えられる。


よって答えはウである。

理由は上記の通りなのだが、これをどう説明するかである。

ただし、問2に関しては、問1と違い、「図をかいてもかまいません」ということになっている。

模範例は……。

黒い面どうしを重ね合わせたまま、図の(2)を動かさないようにして、(1)をア、イのように動かしてみた。アのように動かすと、なめらかにずっとくっついて動いた。イのように動かすと、引き合いと反発をくりかえしながら、カタカタと動いた。このことから、短い辺と平行にN極とS極が並んでいるとわかる。したがって答えはウ。