オフィスで立って仕事をする時代がやってくる

健康診断の時期が近づくと、急に運動を始めたり、食事に気を遣い始めたりする……。健康維持への意識はあるものの、実際には忙しくて何もやっていない人が意外に多い。米人気ライフスタイル雑誌「エスクァイア」の編集者、A.J.ジェイコブズ氏もまさにそんな中年男性の一人だった。しかし、家族と海外でバカンス中に急性肺炎で入院したことを機に一念発起。「世界一健康になる」と決意し、最新健康法に次々と挑戦していった──。100以上に及ぶ健康法の実体験を記録した同氏の著書から、健康情報の洪水の中から本当に役立つ健康法の見極め方と実践法を学ぶ。

ビジネスマンにとって、だらだら時間だけが過ぎていく会議ほど、ムダなものはないだろう。そんな会議を何とか短時間で効率よく終わらせるため、立って会議をする企業が増えつつあるという。キヤノン電子やユニクロがその代表例で、オフィス用品メーカーも「立ち会議対応」なるデスクを販売し始めている。

立ち会議は座っている会議より疲れるので、おのずと早く終わらせようという雰囲気が漂い、結論を出そうという「場の力」が働く。そのうえ、導入企業からは「社員の腰痛が減った」という声もよく聞かれる。そう、実は人間の体は、そもそもいすに座るようにはできていないし、座っている時間が長い人は生活習慣病のリスクも高い。消費カロリーが少ない生活を続けていると、体の代謝もそれに合わせて落ちてきて、脂肪をため込みやすくなってしまうのだ。

A.J.ジェイコブズ氏も、著書『健康男』で座ることの弊害を指摘している。編集者という職業と「座ること」は、切っても切り離せない関係にある。心情的に「座ること」が嫌いではなかったジェイコブズ氏は、「座ることが体にいい」という研究文献を必死に探したが、「体に悪い」というデータが見つかるばかりだったという。

座っていることに関する研究は山ほどあるが、ここでは一つだけ紹介しよう。サウスカロライナ大学とペニントン・バイオメディカル研究センターが行ったものだ。心臓に問題がある男性のうち、1週間に23時間以上座っている人と11時間未満の人を比較すると、致命的な心疾患にかかる確率は前者のほうが64パーセント高かった。だが、悪い話はここで終わらない。座っていた人たちは怠け者というわけではないのだ。座っていないときにスポーツジムに行くという人も多かった。それでも、机の前で座っていることのダメージを完全には覆せなかったのである。(『健康男』より)
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