【病院での治療】 一番つらい症状を薬で抑えながら、体内リズムを正常な状態に戻すように、生活改善を促す。強い光を使った高照度光療法も有効。

ずれてしまった体内リズムをリセットする

冬うつを始め、うつ病の原因とされているのが、セロトニン不足。そのため、脳内のセロトニン量を増やす薬、SSRIなどが処方される。また、セロトニンと関係が深い、メラトニンの観点からの治療薬も処方されている。「冬うつの患者は過眠などの睡眠障害を併発しやすい。原因はメラトニン分泌の異常が示唆されている。2010年に登場したロゼレム(ラメルテオン)というメラトニン受容体作動薬は新しい作用機序を持つ不眠症用の治療薬だが、冬うつの睡眠障害にも効果がある」(立川院長)。

このほかに高照度光療法も有効だ。これは、朝の太陽と同じ程度の強い光を、毎朝2時間以上浴びる治療法。「薬より早く改善効果が出ることもあり、医療器具も市販されています」(立川院長)。光療法や薬の力を借りながら、「早寝早起き」や「過食をさける」といった、生活指導を医師から受けるのが一般的だ。

~ほかにもある、こんなうつ~

双極性障害
 昔は「躁うつ病」と呼ばれていたように、気分が高揚する時期と沈む時期が交互に来る。軽い躁状態が「普通」と思われると、うつ病と誤診されやすい。

産後うつ
 産後3~6カ月以内に、10~20%の人がなる。エストロゲンが欠乏することでセロトニンの働きが低下する。育児のストレスや睡眠不足も誘因に。

燃え尽き症候群
 仕事の繁忙期の後などに精根尽き果ててしまった状態。「報われない」という気持ちが引き金になることも。悪化してうつ病になることもある。

PMDD(月経前不快気分障害)
 排卵期から月経前まで、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増えるのが原因。イライラしたり、キレやすくなったり、落ち込みやすくなったりする。

この人に聞きました

立川秀樹さん
 パークサイド日比谷クリニック(東京都千代田区)院長。筑波大学医学部卒業、同大学院博士課程修了。産業医を経て2007年より現職。「筋トレ中は頭がからっぽになっていい。私もやっています」
平島奈津子さん
 国際医療福祉大学三田病院精神科教授。東京医科大学卒業。精神保健認定医。「女性の場合、婦人科からの紹介で受診する人が多い。かかりつけの医師に、まず相談を」。

(ライター 竹島由起、日経ヘルス 羽田光)

[日経ヘルス2013年1月号の記事を基に再構成]

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