CD買わない若者、なぜフェスにいくのかクリエイター 小橋賢児(4)

ウルトラの一番の特徴は、「観客も主役である」ことを強調していることにあります。通常、米国では勝手に個人の写真をメディアで公開することは難しい。ウルトラでは、チケットにあらかじめ「あなたたちも主催者の一人。このイベントを一緒に作りましょう」と記載しています。イベントの様子は「UMFTV」というライブストリーミングを通して世界中に発信されます。DJも観客も「主役」であり「主催者」なのだから、肖像権の許可は必要ない。訪れる観客は映像に映ることを意識して、思い思いのおしゃれをします。舞台に立つアーティストが観客を撮ることもあるし、観客もアーティストの写真をこぞって映します。コンサート会場などでアイドルの写真撮影が厳しく制限される日本の様子とはかなり異なっています。

さらに会場にいる人たちは「自分はこんな楽しい場所にいる」ことを「シェア」したいから、映像に自分から積極的に映ろうとする。そしてフェイスブックやツイッターで共有する。見ている人たちは自分たちも行きたいと願う。コンサート終了後も映像はアフタームービーとして動画サイトに共有され、さらにその映像が共有される。この流れがあるからこそ、ウルトラは、インターネットとリアルをつなぐ現在の音楽シーンを体現しているイベントだと思います。

ウルトラのリピーターでもある歌手マドンナは、いち早くユーチューブなど無料動画サイトに自分のプロモーションビデオを配信しました。インターネットの普及で生の体験を求めるはずだと考え、映像を見せることで観客をライブに誘導しようとしたのです。

CDは売れない、ライブの時代

今、CDは昔ほど売れなくなりました。そもそも、音楽を聴くツールはCDだけではなくなりました。代わりに伸びているのが「ライブ」です。03年に約942億円だった国内市場は、13年に約2318億円に増えました。10年間で2倍以上の成長です(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ※)。なかでも、日本国内で目立つのは「夏フェス」。老舗の「フジロックフェスティバル」はこの3年間、毎年10万人を超える動員数です。ウルトラもそうですが、チケットは数万単位。決して安くないんです。

※一般社団法人コンサートプロモーターズ協会「年別基礎調査報告書」より(全国各地の正会員社を対象の調査。2013年の正会員は59社)

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