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男一人旅 加賀百万石の城下町、やっぱり金沢は「粋」

2014/1/25

金曜日の朝8時15分、羽田発小松空港行きのANA便。いつものごとくスーツ姿の出張族が、続々と機内へ吸い込まれていく。自分も同じように、搭乗ゲートを抜ける。今日は11時から、金沢の得意先と商談があるのだ。いつもは会社へとんぼ返りだが、今回は金曜日。自費で宿泊し、土曜の最終便までの1日半を、旅にしてしまうつもりだ。加賀百万石の城下町の、情緒に浸る旅。さてさて、どんな楽しみが待っているのだろうか……。

■兼六園で「対照の美」を知る

打ち合わせを終え、金沢の得意先を出たのは午後2時。日はまだ十分に高い。今日これからの時間と、明日土曜の1日は、何ものにも煩わされなひとりの時間である。早速、兼六園に向かう。定番の観光地だが、自分は一度も行ったことがないため、少々引け目を感じていたのである。

着いてみると、さすがに広い。まるで日比谷公園のようだ。これが大名庭園というものか。苔に囲まれた散策路あり、池あり、築山あり、御亭(おちん)ありの景色は変化に富み、散策していて気持ちがいい。

受付でもらったパンフレットを読むと、庭園名の由来は、「『宏大・幽邃(ゆうすい)、人力・蒼古(そうこ)、水泉・眺望』の六勝を兼ね備えているから」とある。なるほど、だから兼六園なのか。とはいえ、いまひとつピンとこない。そこでスマートフォンで、こっそり検索。

そして知ったのは、明るく開放的な「宏大」と、静寂で奥深い「幽邃」とは相反する景観ゆえ、庭園内に共存させるのは困難だったということ。それは、「人力」と「蒼古」、「水泉」と「眺望」にしても同様らしい。兼六園の素晴らしさは、これら相反する景観を見事に共存させたところにあるようだ。つまり、“対照の美”を演出したというわけだ。

兼六園のシンボル、徽軫燈籠(ことじとうろう)。ネーミングにセンスの良さを感じる

そう言われれば、足元にある池や曲水などは「水泉」。そこでひょいと顔を上げれば、能登半島や内灘砂丘などの「眺望」がある。それから、うっそうとしている瓢池(ひさごいけ)周辺の景色は、「蒼古」だな。それに反し、琴柱のように足が二股になった徽軫燈籠は「人力」。なるほどなるほど、これは面白い。

緩やかに流れる曲水に沿って、かきつばたや桜など季節の花が咲く

自分勝手に六勝を解釈しながら散策しているうち、庭園のことが、ちょっと分かってきたような気がするから不思議だ。歴代藩主の前田公も庭師を相手に「あそこが宏大、ここが幽邃であろう」などとやっていたのだろうか。なかなか粋な遊びではないか。

さあこれは「水泉」か「蒼古」か、はたまた「幽邃」か……

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