2014/1/14

子どもが小学生になったので毎日の幼稚園の送り迎えこそなくなったが、それまで専業主婦だった小林さんの生活は一変する。それでも、心づくしの介護ができている実感があり、収入は少なかったが、介護業界でのパートでの復帰は小林さんにとって最善の選択だと感じられた。

しかし1年を待たず、母親は亡くなってしまう。同時に、介護の仕事をパートで続ける理由も、なくなった。

「拘束2時間、収入600円」から念願の正社員に復帰するが…

「生活支援の仕事の場合、時給は1200円程度です。にもかかわらず、30分以上かけて仕事先のご家庭に行き、30分掃除して、また30分以上かけて帰ってくることもありました。2時間近く拘束されて収入が600円では見合いません。自分の家が片付かないのに、人さまの家の掃除をすることもストレスでした」

小林さんは、訪問介護の仕事を辞めた。目指すのは、そもそも望んでいた「フルタイム正社員」での、介護業界での就職。介護関係は求人も多く、最愛の母を思って入った業界だ。せっかく得た経験を、転職に活かしたいという思いもあった。

「ほどなくクリニックに併設されたデイケアセンターに採用してもらうことができました。念願の正社員です。でも、そこがとんでもないところだったんです」

夜の10時、11時までのサービス残業は当たり前。もちろん、家庭がある小林さんも例外ではない。1時間あるはずの昼食休憩も、実際には利用者の食事介助をしながらで、休憩とはとても言えなかった。

「さすがに入社1カ月くらいは、サービス残業もありませんでした。ただ『社員の入れ替わりが激しい会社だな』とは感じていて…」

自分も主力メンバーに組み込まれてわかった。人が辞めるのは、いつもスタッフ不足で余裕がなく、皆が疲弊しているから。寝不足の中、1日中お風呂介助や洗濯を1人でさせられれば、仕事を続けていく意欲が失われても当然。

突然休む人が多かったのは、「勤務日の朝、『今日はとても行けない』など、心が折れてしまうから」だということも、自身の体験を通してわかってきた。

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時給1000円のパートから正社員へ