未来を担う子どもたちへ 私たちができること夕張市長 鈴木直道(8)

財政破綻後、夕張では小中学校が統廃合され、図書館が廃止されるなど、子どもたちへの負担が大きくなってしまう、という事態になりました。財政再建下にあるなかでなかなか取り組めなかった事業でしたが、昨年度から少しずつ子どもたち、子育て世代への取り組みを増やしています。最終回となる今回は、未来を担う子どもたちへの思いを伝えたいと思います。

小学校は22校から1校に

鈴木直道(すずき・なおみち) 1981年埼玉県生まれ。1999年東京都入庁。2004年、都庁に勤めながら4年で法政大学法学部法律学科を卒業。2008年夕張市へ派遣。2010年11月、夕張市市長選の出馬を決意し東京都庁を退職。2011年4月、夕張市長に就任(写真 編集委員 嵐田啓明)

夕張市は、東京23区がすっぽり入ってもまだおつりがくるほど広い地域です。最盛期は小学校22校、中学校9校、高校6校があり、小中高の児童生徒数は約3万人に上るなど子どもが町にあふれていました。その後、国のエネルギー政策の転換により炭鉱は閉山。急激な人口減少を受け、学校は段階的に統廃合されていきました。

それでも、財政破綻前までは、地区ごとに小中学校がありました。しかし、さらに子どもたちは減り続け、07年の財政破綻もあって6校あった小学校は1校に、3校あった中学校は1校に統廃合されたのです。このことで児童の学校生活や保護者の活動に様々な影響が出てきました。

まず大きな課題は遠方からの通学時の安全確保です。広い地域なので、全体の約63%の児童生徒はバスを利用して通学し、なかにはバスで約40分かけて通学している子どももいます。そのため、各バス停に見守りボランティアとバス車内には添乗員をつけ、児童見守りシステムという仕組みも導入しました。ICチップの入ったカードを児童に持たせ、バスの乗車、降車時にバス停へタッチしてもらいます。タッチすると、保護者のもとへメールやWebを通して無事についた、もうすぐ帰る、などのお知らせが届くのです。

もう一つ課題としてあげられているものに、「放課後」をどうするかということがあります。学校が終わり友達と遊びたい、と思っていても遠方に住んでいる子どもは帰りのバスの時間もあり、みんなで集まって遊ぶことが難しい。また、かつては地域ごとにPTA活動を行い、子育てのコミュニティーを作っていたものが、統廃合したことで親同士のつながりがどうしても薄くなってしまいました。その結果、地域のお年寄りや子ども同士のふれあいも減ってしまうことにもつながるのです。

「市長チーム」もできる小学校の運動会

しかし、悪い影響ばかりではありません。私も一緒に通学時のバスに乗ったことがあるのですが、遠方からの通学者も多いため、高学年の児童はバス車内で自然に、遠方から通学する低学年の児童に対して気を配るようにもなりました。