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本日入荷 おいしい話

2013/6/11

本日入荷 おいしい話

鶏の育種会社、世界では2大グループの寡占状態に

後藤孵卵場が育種した純国産鶏「さくら」のひな(岐阜市)

それにしてもなぜ、ここまで輸入依存度が高まったのか。数少ない純国産鶏の開発に長年携わってきた後藤孵卵場(岐阜市)の日比野義人社長は「海外の鶏は採卵率が高く、国産鶏は太刀打ちできなかった」と振り返る。

ひなの輸入が解禁された1960年代までは日本でも鶏の育種会社が数多く存在していた。しかし解禁後、同じエサの量でたくさん卵を産む外国産の鶏が市場を席巻。あっという間に外国産が主流となった。

日本国内でも鶏の育種を行ってはいる。しかし育種には多大なコストと時間がかかる。歴史のある欧米の育種会社は改良の基礎となる鶏を豊富に持っており、その差はなかなか埋まらない。

では輸入した原種鶏や種鶏を国内で増やせないのか。日比野社長は「原種鶏や種鶏からでは、良質な卵を産み続ける性質が何代にもわたって引き継がれません。均一な卵を生産するには、種の基となる鶏が必要ですが、そこは門外不出。結局、原種鶏や種鶏を毎年買い続けるしかないのです」と話す。

後藤孵卵場ではこうした状況に危機感を抱き、種の基となる鶏を開発。「純国産鶏」として提供している。現在、殻がピンク色の卵を産む「さくら」と、赤玉を産む「もみじ」を展開中だ。ただ規模では外国産にかなわず、シェアは数%にとどまっている。

鶏の育種の世界ではグローバルでも競争が激しい。資金力が開発力に直結するからだ。現在ではドイツ系のEWグループと、オランダに本部を置くヘンドリックス・ジェネティックス社の2大グループの寡占状態となっている。両社とも数多くの子会社を傘下に抱え、それぞれの農場からひなを日本向けに出荷している。

産卵は午前中に集中 数日産んで、1日休む

ところで、1羽の鶏はどのくらいの頻度で卵を産むのだろう。

JA全農たまごの岩本容輔さんによると、「おおむね25~27時間に1個といわれています」とのこと。産む時間も決まっており、「明るくなってから2~6時間後」だとか。この周期だとだんだん時間が遅くなってきそうだがそんなことはなく、明るくなってから8~10時間を超えるといったん産まなくなり、次の日にまた朝早くから産み始めるという。

独立行政法人の家畜改良センター岡崎牧場(愛知県岡崎市)が開発した「岡崎おうはん」は卵・肉兼用の鶏だ

卵のサイズは、産み始めてからの日数と関係してくる。鶏が卵を産み始めるのは産まれてから約4カ月後。一般的に、体の小さい若い鶏は小さな卵を産み、日数がたって体重が増えてくると大きな卵を産む。

自然な状態では5年ほど産卵するといわれているが、商品として販売するのは1年半程度。その後は食肉用などになる。

これから夏場にかけて、鶏にとって厳しい季節が続く。鶏は暑さに弱いのだ。「汗腺がないので呼吸か水分補給でしか体を冷やせない」(岩本さん)。呼吸の回数が増えるとその分、血中の二酸化炭素濃度が上昇し、炭酸カルシウムの形成が遅れる。夏場に卵の殻が薄くなりがちなのにはこんな理由があった。


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