この冬、見るべき洋画は…正月映画を必見度で格付け
日経エンタテインメント!
例年同様、各社がこん身の1作を投じる正月映画には、必見の話題作がそろった。せっかく巨大スクリーンで見るのだから、テレビやDVDでは味わえない感動を得たいもの。そこで作品に求めたいのは、描く世界のスケール感、映像のリアルさ、物語のドラマ性。これらが「映画ならでは」の並外れた満足度を与えてくれる。
そこで今回、2013年末に公開される正月向けの洋画から、注目の話題作を8作品ピックアップした。「スケール」「リアル」「ドラマ」を合計15点満点で採点したので、作品選びの参考にしてもらいたい。
ネイチャー体験映画バトル
2013年9月に国産の「イプシロンロケット」が打ち上げられ、一躍、イプシロンブームが起こったり、同年11月に若田光一氏が日本人として初めて、国際宇宙ステーションの船長に就任するなど、国民の注目が宇宙に集まっている昨今。実際に宇宙に行ったら、どんな風景や出来事が待っているのか……。それをまるで実体験しているかのような迫力で見せてくれるのが、「ゼロ・グラビティ」だ。
宇宙で作業中のスペース・シャトルを、突然大きなトラブルが襲う。広大な宇宙で孤立してしまう恐怖が、巨大スクリーンでも収まりきらないほどのスケール感で表現される。3Dでも公開されるため、無重力空間をモノが浮遊したり、無数の隕石(いんせき)の粒が目の前を高速で飛んでいく様などが、立体的でとてもリアルだ。
宇宙飛行士のストーン博士を演じるのは、アカデミー賞女優のサンドラ・ブロック。そして彼女と行動を共にし、サポートするコワルスキー船長には、アカデミー助演男優賞の受賞経験があるジョージ・クルーニー。真空、無重力の空間でどう生き残るか、これまでにないほどの極限のドラマが味わえる。「スケール」「リアル」「ドラマ」のいずれも満足のいく作品で、今回、注目度1位だ。
これに対し、好敵手となりそうなのが、注目度2位の「ウォーキング with ダイナソー」。未知の恐竜時代を最新の映像技術を使って疑似体験させてくれる。「ゼロ・グラビティ」とともに、「ネイチャー体験映画」としてスケール、リアリティーのどちらも映画らしい作品だ。
製作は、ネイチャー系の映像作品を作らせたら一級品のブランドであるBBC。アカデミックな考証も綿密で、恐竜の体に細かな毛が生えていたり、色も様々であったりと、科学的なリアルさで想像をかき立てる。宇宙か恐竜か、楽しみどころの多い正月洋画ダービーになりそうだ。
「社会悪」をどう倒すのか
注目度3位にラインアップした4作の楽しみどころは、どうやって敵を倒すか、その過程のリアリティーとドラマ性だ。勧善懲悪ものは、カタルシスが明確で、ハラハラドキドキ、鑑賞後のすっきり感が得られるため、人気が高い。「海賊」「テロリスト」「主君の敵(かたき)」「独裁者」と、倒してすっきりできる「悪」がズラリと並んでいる。
「キャプテン・フィリップス」に登場する敵は「海賊」。アフリカのソマリア沖で実際に米国籍の大型貨物船が乗っ取られ、船長が拉致された事件を映画化したもの。海賊に対し、米国海軍が特殊部隊を投入。船長は命の危険にさらされる。米側と海賊で交わされる交渉術や、突入部隊の戦術などが非常に緻密に描かれ、リアリティーがある。
「REDリターンズ」の悪は「テロリスト」。彼らが破壊兵器を手に入れてしまい、その爆発をどう防ぐか、という多少ありがちな設定ながら、アメコミ原作らしい破天荒な、だましだまされの過程が楽しい。
一方、「47RONIN」に登場する敵は「主君の敵(かたき)」だ。忠臣蔵から発想を得た物語だが、そこにハリウッドらしいファンタジー性が加わり、アクションもたっぷりの「あだ討ち」が繰り広げられる。
そして、憎き「独裁者」が仕組んだ残虐なゲームが展開されるのが、人気シリーズ2作目の「ハンガー・ゲーム2」。家族を捕らわれ、若者同士が殺し合うサバイバルゲームに参加する少女が、生きるために戦う、青春SFバトルだ。
テーマパークのような映画
注目度4位は、子どもが大好きなテーマに、映像のプロがハイテクで息を吹き込んだキャラクター3Dもの。「プレーンズ」は、自動車をキャラ化した「カーズ」の飛行機版。3D映像で空撮やドッグファイトなど、飛行機に乗っているような気分になれる。
「くもりときどきミートボール2」(2013年12月28日公開)は食べものがキャラクターとして活躍する人気シリーズ第2弾。こちらも3Dで、テーマパークのアトラクションの映像のようなワクワク感で、大人も十分に楽しめる。
(日経エンタテインメント! 白倉資大、ライター 相良智弘)
[日経エンタテインメント! 2014年1月号の記事を基に再構成]
(C)2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC. (C)2013 Twentieth Century Fox (C)2013 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. (C)2013 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. (C) Universal Pictures. (C)2013 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED. (C)2013 Disney. All Rights Reserved. (C)2013 Sony Pictures Animation, Inc. All Rights Reserved. **ALL IMAGES ARE PROPERTY OF SONY PICTURES ENTERTAINMENT INC. FOR
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。