「介護」で選ぶ老後の住まい 費用とサービスを総点検

高齢者向けの居住施設は、入居者が要介護の状態かどうかなどの違いによって、大きく10種類に分類することができます。親や自分の老後で必要になるときのために、どのような施設があるのかあらかじめ知っておきたいところです。今回は、実際に施設へ取材した内容を交えながら、各施設のサービス内容や費用がどう異なるのか、チェックしました。

核家族化が進み、高齢の夫婦だけで暮らす世帯や、一人暮らしをする老人が増えている。厚生労働省が発表した2011年の「国民生活基礎調査」によれば、65歳以上の夫婦世帯は1986年に約178万世帯だったのが2011年には約582万世帯に増えた。また単独世帯は86年に128万世帯だったのが2011年には約470万世帯に増えている。

住み慣れた自宅で最期を迎えたいと思うのは自然な気持ち。ただ年を重ねるにつれて、徐々に食事を作るのが面倒になったり、風呂掃除などが思うようにできなくなったりするのは避けられない。ましてや病気の時に、独り住まいだと一歩間違えば手遅れになりかねない。

2012年1月、石田慶子さん(83歳)は秋田市内の自宅から病院に運ばれた。独り住まいの石田さんは、体の不調を覚え、意識がもうろうとしていた。様子がおかしいと思った近所の人が自宅を訪ね、すぐに石田さんを病院に運んだ。

一時は面会謝絶で意味不明の言葉を発するなどしたが回復、2カ月ほど入院した後の2012年3月に退院した。現在は千葉市緑区にある高齢者向けのマンションに入居する。心配した長男が近くに住むことを勧め、石田さんも秋田を離れる決心をした。

2020年までに60万戸

退院時点で石田さんは要介護5。現在は車いすを利用しながらリハビリしている。要介護度の高い人が入居する場所といえば、特別養護老人ホーム(特養)が頭に浮かぶだろう。だが石田さんが現在入居しているのは、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」と呼ばれる場所だ。

サ高住は2011年10月から始まった新しい高齢者向けの住まい。国が普及を後押し、2020年までに60万戸が建設される予定だ。

上の表のように高齢者向けの施設はさまざまで、費用や受けられるサービスに違いがある。表のC、D、Eは介護保険3施設と呼ばれ、他の施設と比べて一般に低価格で利用できる。だが社会保障費の財源問題などから基本的に削減ないし数を増やすのを抑える傾向で、今後利用が難しくなる。

団塊世代が75歳以上になる2025年に向けて、国は特養のような施設ではなく、自宅介護を推進する姿勢。サ高住は、自宅の場合と同様に外部の介護サービスを利用する住まいで一般に自立した高齢者向けの施設といわれている。

介護状態・費用別に見るシニア向けの住まい(注:*1=介護保険の自己負担分や家具代などを含まない。*2=住居費、食費、家具代、介護保険の自己負担分を含む)
Yes、Noで見極める施設選び(A~Jの概要は上の表を参照)
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