シミ、シワ、くすみ、加齢臭…、「夏老け」しないスキンケア
日経ヘルス・フォーメン
~夏老けをもたらす6大サインに注意~
紫外線、暑さ、エアコンによる乾燥……夏は肌と髪へのストレス要因であふれている。過酷な季節に耐えた肌と髪は疲れ果て、秋が始まるころにはボロボロに。実年齢より老けて見られるのが「夏老け」だ。しっかりケアして回避しよう。
抜け毛
夏は暑さで汗と皮脂が通常よりも多く分泌される。シャンプーで洗い落とせなかった皮脂が頭皮の毛穴に詰まり、抜け毛につながることも。また紫外線により頭皮の老化が進むのも、抜け毛が増える原因に。
シミ・くすみ
紫外線を浴び続けると、シミができてしまう。「高齢男性の顔によくある老人性疣贅・ゆうぜい(茶褐色などに盛り上がったシミ)は、有害な紫外線でがんになるのを防ぐために細胞が対抗した跡です」(亀山さん)。
大人ニキビ
皮脂分泌作用のある「男性ホルモン」や、「アドレナリン」「ノルアドレナリン」「ストロイドホルモン」が要因とされる。また、暑さで皮脂が毛穴に詰まってしまい雑菌が繁殖するのも、大人ニキビができる原因である
シワ
紫外線は「UV-A」と「UV-B」に分けられるが、UV-Aは肌の奥(真皮)に届く。「2分間紫外線を浴びただけで、肌のハリや弾力にかかわる線維を破壊する酵素が体内に作られます」(亀山さん)。結果、シワやたるみの原因に。
日焼け
UV-B は肌のメラニンを活性化させて炎症を起こし、肌をやけどと同じ状態にする。乾燥の原因になり、毛穴の開きも起こす。直射日光のほか地表からの反射にも注意を。
加齢臭
暑さや紫外線により皮脂腺が活性化し脂肪酸が増えると、老化の原因といわれる活性酸素が体内に増加。すると同時に過酸化脂質も増加し、加齢臭の原因となるノネナールという物質を作ってしまう。
なぜ、夏に老けてしまうのか? 夏は汗や臭いに悩まされるつらい季節だが、肌にもストレスが強くかかる時期。紫外線や気温といった環境要因と、熱帯夜による寝不足などの生活習慣の乱れが"夏老け"の原因になる。 夏老けとは主に次の四つが顕著になること。「シミ・シワ」、「大人ニキビ」、さらに肌トラブルが原因で起こる「抜け毛」と「におい」の増大だ。
まず第一に、なぜシミ・シワが夏に発生しやすいのか。青山ヒフ科クリニックの亀山孝一郎院長によると「最大の原因は、紫外線によるダメージです。男性は女性と違ってスキンケアをしていない人が多いため、長年のお手入れ不足で肌がボロボロの状態。加えてひげ剃りによって毎日肌を傷つけ、紫外線へのバリア機能を弱らせてしまっているのです」という。
人の皮膚は、外側を覆う「表皮」と、皮脂腺・汗腺・血管などがある「真皮」、体を暑さ・寒さ・衝撃から守る「皮下組織」で構成されている。そのうちシミに関係するのは、表皮。表皮は紫外線を受けると防御壁としてメラニン色素を生成し、紫外線を吸収する。それにより皮膚の奥に有害な紫外線が届くのを防ぐ。体を守るためのメラニン色素は、肌の一部で過剰に反応し余分に作られたり、肌に沈着すると、シミになってしまう。
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【結論】
1.ストレスをため込まないためにリラックスできる時間を作る
2.炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミンなど、バランスを意識した食事
3.定期的な運動習慣で体をリフレッシュさせる
4.毎日しっかり睡眠をとり、副交感神経を優位に働かせる
5.スキンケアを行い、肌の調子を整える習慣を心がける
一方、シワに関係するのが真皮。紫外線によって真皮の中にある線維が切断されてしまうのが原因だ。肌の弾力性を保つ線維が失われることで皮膚が弛緩してシワになる。
そしてシミとシワとは別の要因で起こるのが、大人ニキビ。原因は暑さで皮脂や汗が多く分泌されるため。さらに猛暑での睡眠不足や汗による不快感でストレスが加わる。「ストレスは皮脂分泌を促すホルモンを増やすため、さらに皮脂が増加します。すると毛穴に皮脂が詰まりやすくなり、大人ニキビができるのです」(亀山さん)。
シミ・シワ・大人ニキビは主に「紫外線によるダメージ」と「暑さによる皮脂分泌」の2大要素が原因とわかったが、抜け毛や臭い増加の理由も同じである。亀山さんは「顔もそれ以外の部分も、紫外線対策とこまめなスキンケアに加え、バランスの良い食事やビタミンC・B・Eなどのサプリメントをとるなど、体の外と中からケアをすることが大切」という。
今ケアをするかしないかで5年後、10年後が大きく変わる。この夏は正しい洗顔、ひげ剃り、保湿、日焼け止め、頭皮ケア、臭いケアをマスター、直ちに実行に移そう。
~男の肌トラブル一問一答~
A 1日5分でいいので湯船でくつろぐ時間を作る
「ストレス社会で交感神経がずっとオンになった状態は肌にも健康にもよくありません。リラックスする副交感神経のスイッチを入れるために、毎日5分、湯船につかって何も考えずにくつろぐ時間を作って」(亀山さん)。
A ビタミンCのサプリメントで体の中からケアを
「外だけではなく中からもケアを。通常、ビタミン類は体内に入ってもエネルギーの代謝や食物栄養素の分解や合成などに優先的に使われてしまいます。抗酸化作用などのビタミンの効果を皮膚まで行き渡らせるためには意識的にサプリメントをとって」(亀山さん)。
A 肌が"糖化"しているのかも……
「脂質や糖質の過多で体内のたんぱく質と糖を代謝しきれなくなり、余剰なたんぱく質と糖が結合してしまうのが"糖化"。肌の場合はコラーゲンが糖化すると、表面の弾力性がなくなります。肌のケアはもちろん、食生活などにも気を配りましょう」(亀山さん)。
A ひげ剃りの方法が間違っているかも
「丁寧に顔を洗っても、雑菌がついたシェーバーでメタルピーリングをしていては洗顔の効果が半減するうえ、肌も傷ついてしまいます」(亀山さん)。
A 症状が悪化する前に、気軽に専門医へ
「男性は肌のことになると、症状がひどく悪化してからでないと来院しない傾向が。炎症が長引く、痛みがあるなどの症状があれば、早く専門医に」(亀山さん)。
アドバイザー
青山ヒフ科クリニック院長。高濃度ビタミンC療法施術に定評がある。「クリニックに通いたくても通えない人に」と開発した化粧品『ドクターケイ』は美容家や芸能人に人気。
(ライター 瀬戸和奏)
[日経ヘルス・フォーメン 2012SUMMER この夏こそ 腹を凹ます!の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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