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半生もイケル、ポルトガルから来た日本の国民的お菓子

世界のおやつ探検隊

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NIKKEI STYLE

 お菓子を買おうと思えば、ようかんや大福は和菓子屋へ、ケーキは洋菓子屋へと足を運ぶもの。でも、海外に起源を持つお菓子なのに和菓子屋に並ぶ大定番お菓子がある。カステラだ。日本の「国民食」といわれるものの中には、カレーライスのようにやはり海外に起源を持つものがあるが、ヨーロッパに起源を持つカステラも今や「国民的」なお菓子と言っていいだろう。となれば、ナショジオが結成した「世界のおやつ探検隊」が今回目指すのは、もう、あの国しかない。

やわらかく、しっとりした「半生」タイプのカステラ

カステラは、15~16世紀にヨーロッパより日本にもたらされたといわれているが、起源とされるお菓子には諸説ある。例えば大航海時代、船乗りたちが保存食として重宝していたというスペインの「ビスコチョ」。これは2度焼きしたパンのようなものだったとか。そしてもう一つが「パォン・デ・ロー」(パォンはパンの意味)。ポルトガル(ポルトガル共和国)の代表的な伝統菓子だ。

このお菓子が食べられる店がある。東京・四ツ谷のポルトガル料理店「マヌエル カーザ・デ・ファド」(以下「マヌエル四ツ谷」)。ポルトガル出身で、結婚を機にかつてポルトガル領であったマカオに移住、同地で人気店を経営するシェフであるマヌエル・ペナさんが料理を監修している店だ。マヌエルさんは海外在住のため、今回はメールで話をうかがった。

実は、ここで出されるパォン・デ・ローは「半生タイプ」。しっかりしたケーキタイプの日本のカステラとはまるで異なる。マヌエルさんによれば、このお菓子は基本的に生地がしっかりしたものと半生タイプに分かれるのだという。しっかりとした生地のパォン・デ・ローでも、日本のカステラより軟らかく、しっとりとしているそうだ。ちなみにマヌエルさんは「日本のカステラも好きですよ」とのこと。

彼によると、ポルトガルのアルフェイゼラン(中西部)、オバール(北西部)、マルガリデ(北西部)、アロウカ(北部)などの地域でこのお菓子はよく知られており、それぞれ特色があるそうだ。機会があればずらりと並べて食べ比べてみたいものです。ちなみに、ポルトガル大使館に問い合わせてみたところ、ポルトガル北部と南部(リスボン)の出身である2人の来日スタッフが慣れ親しんでいるパォン・デ・ローは、いずれもしっかりタイプのケーキとのことだった。どうやら、2つのタイプの分布は単純な地理的線引きができるものではないようだ。

「半生」は想像以上にとろ~り

「パォン・デ・ローは1年を通してポピュラーなお菓子だけど、特にクリスマスやイースターの時期によく見かけるお菓子ですね。うちでは娘が私と妻のためにいつも焼いてくれるんです」とマヌエルさん。娘さんの手作りケーキなんて、さぞかし幸せな味がすることだろう。

さて、レストランではマカオでマヌエルさんと一緒に働いていたというフィリピン人の女性料理人デーリャ・ダヨットさんが、このお菓子を用意してくれていた。ちなみに同店のレシピは、マヌエルさんのお母さん直伝のレシピだ。レシピの分量(なんと18人前)を見せてもらうと、卵黄7個、全卵3個、砂糖140グラムと強力粉80グラムを合わせて焼くらしい。「ポイントは、材料を合わせたら必ず同じ方向に回して混ぜ合わせること」だそう。同店では混ぜ合わせた生地を陶器の器に流し入れ、そのままオーブンに入れて焼く。

「マヌエル四ツ谷」で使っていたのは1人用のかわいい器だったが、「ポルトガルのレストランや家庭ではもっと大きな容器で焼いて、切り分けて食べたりしますね」と、同地で料理修行をしたこともあるデーリャさん。ちなみに「しっかりとしたケーキタイプのパォン・デ・ローは、誕生日ケーキの土台にしたりするんです。カカオを混ぜてチョコレート味にしたりしてね」という。

運ばれてきた丸いパォン・デ・ローの少しへこんだ真ん中の部分に、ぐっとスプーンを入れてみた(フォークじゃないというところがミソ!)。キツネ色に焼けた薄い生地がぺろんとめくれると、下から出てきたのは濃い卵色の半生生地。想像していたよりずっとトロリとしている。スプーンですくって一口いただいてみると、濃厚な卵の味。誰もがハマりそうな味わいだ。

新しいポルトガルのお菓子「セラドゥーラ」

さて、伝統的なパォン・デ・ローがメニューに並ぶ一方で、「マヌエル四ツ谷」にはもっと新しいポルトガルのお菓子もあった。「セラドゥーラ」(おがくずの意味)だ。

セラドゥーラは、細かく砕いたマリービスケットと、生クリームと加糖練乳(コンデンスミルク)を合わせて泡立てたクリームを交互に器に盛って層状にしたお菓子だ。「これはモダンなお菓子なんです。私が子どもの頃には、生クリームを使ったデザートはなかったんですよ。お店のメニューを決めるときに、伝統的なものとモダンなものとをミックスしたいと思って、ラインアップに加えたんです」とマヌエルさんは言う。このセラドゥーラも、ポルトガル全土にあるお菓子だという。

「今どきのセラドゥーラは、チョコレートやイチゴ、マンゴーなどのフルーツを使ったりもするんです。アルコールが入ったものもあります」。ただし、マヌエルさんは、こうした、さらに現代風にアレンジしたレシピは好きではないらしい。

「もし、フルーツを合わせるとしたらブラックベリーかな」とマヌエルさん。「ブラックベリーはセラドゥーラと味のバランスがいいし、なんといっても"タダ"の材料ですからね」。タダ……と不思議に思ってメールを読み進むと、ポルトガルではブラックベリーを入手するには、この果物の季節に家の近くの森に行って摘んでくればいいのだそうだ。

セラドゥーラはマカオでも人気のお菓子だ。作りたてのセラドゥーラをいただくと、生クリームの層がとてもふわっとしていて軽い味わい。細かく砕いたビスケットの食感とのハーモニーが抜群。材料がとてもシンプルなので正直もっとジャンクな味を想像していただけに驚きだ。「本当はしっかり冷やして食べた方がおいしいんですよ。アイスクリームみたいな味わいにもなります。夏の方がポピュラーなデザートなんじゃないかしら」とデーリャさんは言う。

お菓子と一緒に「ワイン」、これがポルトガル風

最後に、マヌエルさんに子どもの頃の思い出を聞いてみた。好きだったお菓子として教えてくれたのは、お母さんが作ってくれた焼きプリンや「アロス・ドース」(甘い米の意味)。アロス・ドースは、お米とミルクを使った甘いお粥のようなものだ。「家が裕福ではなかったので、あまりぜいたくなお菓子は作れなかったんですよ。だから、母はありあわせの材料でお菓子を作ってくれたんです。農場をやっていたので、ミルクや卵が主な材料でした。こうしたお菓子は、クリスマスやイースターによく食べましたね」

さらに、ポルトガルではお菓子と一緒にどんな飲み物をよく飲むかを聞いてみたところ、「個人的には赤ワインと一緒に食べるのが好きですね」と意外な答えが返ってきた。「でもね、伝統的には」と書かれていたのでその後に紅茶やコーヒーが出てくるかと思いきや、「ポルトワインと一緒に食べるんですよ」。ポルトというのはポルトガルの甘いデザートワイン。1本取られました。

今回はおしまいにセラドゥーラの作り方をざっとご紹介。ぜひお試しを。

セラドゥーラ(2人分)

【材料】

マリービスケット(細かく砕いたもの) 200g程度(1層につき約30g)

生クリーム   150ml

加糖練乳    40g

【作り方】

1. 生クリームと加糖練乳を泡立て器で混ぜる。電動式のものを使う場合、生クリームが分離しないよう最初はゆっくりと混ぜ、徐々に速度を上げる。

2. 1を絞り袋に入れ、砕いたビスケットと交互に容器に層状に重ねていく。

3. 2を冷蔵庫に入れ冷やして出来上がり。

今回のおやつの生息地
「マヌエル カーザ・デ・ファド」
住所:東京都千代田区六番町11-7 B1F
電話:03-5276-2432
ホームページ:http://www.pjgroup.jp/manuel/

[Webナショジオ2013年10月18日掲載]

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