牛脂注入肉って何? 似た技法フランス料理にも

霜降り・やわらか…… 曖昧メニューに注意

消費者庁はホームページ上にQ&Aとしていくつかの例を挙げてはいる。ただし「実際には案件ごとの判断になる」(表示対策課)。

同庁がQ&Aで明確に「ダメ」と指摘しているのが「霜降りビーフステーキ」と「さし入りビーフステーキ」。牛脂注入肉なのにこう表示すると、優良誤認に該当するという。消費者が「霜降りビーフステーキ」から思い浮かべるのは、一定の飼育方法で脂肪が細かく交雑した状態になった牛肉。だから優良誤認に当たる、という判断だ。

「霜降り加工」や「やわらか加工」ではどうなのか。質問してみると、これまたケース・バイ・ケースとの答えが返ってきた。ただし成形肉であれば「やわらか加工」「やわらかビーフ」「健康ビーフ」などの表示は優良誤認に当たるという。「やわらか加工」の場合、「肉をたたくなどしてやわらかく加工した」と誤解される恐れがあるからだ。

では牛脂注入肉はどう表示すればいいのか。この質問に対し、同庁は2つの例を挙げている。「牛脂注入加工肉使用」と「インジェクション加工肉を使用したものです」だ。これらの表示を明瞭に記載すれば「直ちに景品表示法上問題となることはない」という。

ここでポイントとなるのが「明瞭に」の解釈。明瞭とは、商品名と同じ文字の大きさで商品名の近くに記載するなどして、消費者が牛脂注入肉を1枚肉を焼いたステーキだと誤認しないようにすることだという。「字の大きさだけでなく、背景の色と文字の色などでわざと読みにくくしているようなケースも景表法上問題となる可能性がある」(表示対策課)

牛脂注入肉、ここ10年で急速に浸透

牛脂注入肉が登場したのは30~40年前。記者が食肉業界を担当していたのは15年ほど前だったが、その頃には既に広まっていた。デフレ進行に伴い急速に浸透し、いまや外食業界では「当たり前」となっている。牛脂注入肉や成形肉の登場が、牛肉を身近にした側面もある。

好き嫌いはあれ、インジェクション技術は食肉業界に既に浸透している。飲食店が襟を正し、表示ルールの整備を急ぐことが何よりも求められる。(電子報道部 河尻定)

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