お祭り気分で楽しみたい旬の味続・食を愉しむ旅(5)ナショナル ジオグラフィック日本版

ナショナル ジオグラフィックが提案する世界の食を愉(たの)しむ旅を紹介する本シリーズ。今回はフィンランドのザリガニパーティーとチェコ・プラハのクリスマスフェアを取り上げます。あなたも旬の味をお祭り気分で味わってみませんか。

~フィンランド ザリガニパーティー~

ボウルに山盛りの、炎のように赤いザリガニ。夏のパーティーの主役だ。(c)Franco Figari/Finnish Tourist Board

フィンランドは夏の間の2カ月間、都会も田舎もザリガニパーティーで盛り上がる。

ザリガニは7月21日に解禁となり、シーズンは9月初旬まで続く。フィンランドの人々は田舎でも都会でも、このおいしい甲殻類を山盛りにしたテーブルを大勢で囲み、殻を割り、身をかき出し、むしゃむしゃ食べる。

在来種のヨーロッパザリガニ(別名ノーブル・クレイフィッシュ)は、1990年代初めに真菌病によって絶滅の危機にひんし、国産ものは激減した。夜の間に川や湖でとれたものが最上とされるが、高価なため、多くの人はスペインやトルコ、米国の輸入もので間に合わせる。

パーティーでは一人あたり12匹のザリガニを用意し、それぞれの椅子には紙エプロンをのせておく。ザリガニは、クラウンディルというハーブを入れた湯で塩ゆでにし、水気を切って一晩冷やす。食べるときは、大皿に盛ってテーブルの中央に置く。ディルの小枝とゆでた新じゃがいもを添える。

フィンランドの公用語は2つ。パーティーのやり方もいろいろだ。たとえばスウェーデン語系の人々はとんがり帽子をかぶり、乾杯のたびにザリガニの歌を歌う。もっとも、ザリガニの食べ方は共通だ。2つに割って汁をすすり、尾の部分の身を専用ナイフでえぐり出す。繊細な味を引き立てるレモン汁かサワークリームをつける。ザリガニをたたえて、冷やしたウオツカを注いだショットグラスを掲げよう。キッピス(乾杯)!

………………………………………………………………………………

■ベストシーズン ザリガニのシーズンは、過ぎゆく夏を惜しむように8月から9月初めまで続く(夜は冷え込むのでセーターやひざ掛けを持参すること)。ヘルシンキのオープンテラスのあるレストランでは、8月中はザリガニがメニューにのぼる。

■旅のヒント 西のトゥルク、首都ヘルシンキ、そして東部のポルボー(絵のように美しいスウェーデン語圏の港町)と、フィンランドの南岸を1週間かけてたどっていこう。そして乾杯に参加しよう。「乾杯」はフィンランド語で「キッピス」、スウェーデン語では「スコール」という。飲み物にはビール、アクアヴィット、ウオツカのほか、コスケンコルヴァというフィンランドの蒸留酒もある。ミネラルウオーターや辛口の白ワインと一緒に味わってもいい。

【見どころと楽しみ】
<ザリガニパーティーのエチケット>
・フィンランドでは、森や湖のそばでサウナに入った後は、よくザリガニパーティーになる。サウナ小屋を閉鎖する前の晩夏の恒例行事だ。
・三角に切ったバタートーストにザリガニの爪の肉をのせ、ディルをあしらったカナッペが前菜として出ることもある。旬のアンズタケなどのきのこもスープや前菜に使われる。
・主なコース料理は、ザリガニに始まり、メインは鮭の板焼きかゆでた鮭、デザートはブルーベリーのタルトかラップランド産の木いちご。
・パーティーではザリガニの頭やはさみから音を立てて汁を吸う。気楽にわいわい楽しむパーティーだ。
今こそ始める学び特集