働き方・学び方

定年世代 奮闘記

死ぬ前に相続トラブルの芽摘まねば 定年男子の終活見聞録

2012/11/17

葬式や墓のことなどをある程度勉強し、それなりの心づもりもできた。にわかに始めた終活は順調に進んでいる。そんな時、「大切なことを忘れている。最近は遺産相続が大変なのだ」と知人の司法書士が教えてくれた。「もめるほどの財産はない」「子供たちは仲が良いから」と、相続トラブルなど考えもしなかったが、確かに「仲の良かった兄弟が、相続を機に口も利かなくなった」などという話を、よく耳にする。

■セミナーを受講、知識の曖昧さを痛感

相続に関する相談会は各地で開かれている(神奈川県横須賀市)

思い立って、自宅近くにある横浜市の地域ケアプラザで開かれていた遺言・相続セミナーをのぞいてみた。会場は70歳前後の約30人でほぼ満員。高齢者の関心を盛り上げようと、クイズ形式で講義が始まった。

「自筆の遺言書があったので、葬儀の後、遺族が集まって開封した。さて正しいか間違いか」という講師の質問に、参加者が一斉にマル、バツの札を上げる。札はほぼ半々に分かれた。学校で習ったような気もするが、もう完全に忘れている。

迷っているうちに、「正解はバツ。未開封のままで家庭裁判所の検認を受けなければならない」と講師が続ける。「亡くなった人の自動車をそのまま売却できるか」などの質問もある。これもバツ。「まず相続手続きをしなければならない」のだそうだ。そのたびに、「へえー」と、あちこちから声が上がる。

■「普通の家庭が一番危ない」の言葉にギクッ!

家系図を示しながら説明する佐藤さん(横浜市西区)

講師は相続手続支援センター横浜駅前の代表で、司法書士の佐藤健太郎さん。市内各所のケアプラザを訪れてはセミナーを開いている。プラザの担当者は「最近は趣味の講習会より、遺産相続などの講座への関心が高くなった」と話す。私もそうだったが、これまで遺産の行方など気にもしてこなかった人が多いようだ。

さて我が家の場合、財産といえば自宅マンションとわずかな預金ぐらいだ。「うちは大丈夫」と佐藤さんに話すと、「そういう家庭ほど危ない」と一蹴された。

例えば、3000万円相当の自宅と1000万円の預金を残して親が亡くなった場合、相続人が子2人だと法定相続分は1人2000万円になる。分割できない自宅を1人が相続すると、もう1人の相続分を預金でまかなえない。「家を売って分けよう」という話にも発展し、兄弟の仲が険悪になりかねない。「遺産は自宅とわずかの預金」というケースこそ、むしろもめやすいらしい。

働き方・学び方 新着記事

ALL CHANNEL