「急速な発達」に注意 1月に首都圏を襲った「爆弾低気圧」とは気象予報士 伊藤みゆき

1月は寒い日が続きましたが、ようやく春の気配が感じられるようになりましたね。1月中は14日と28日に関東平野で局地的な大雪に見舞われ、電車の運転見合わせやスリップ事故などが相次ぎました。特に「成人の日」の1月14日は、予想を上回る大雪により、気象庁も異例の「当初の予想とのズレ」に対して検証を発表したほどです。

「成人の日」の1月14日に首都圏を直撃した大雪は「爆弾低気圧」によるものだった

予想以上の大雪の原因の一つが本州の南岸を進んだいわゆる「爆弾低気圧」。急速に発達した低気圧が北から冷たい空気を予想以上に引き込んで、東京や横浜などもミゾレから一気に雪に変わってしまったのです。

「爆弾低気圧」は「急速に発達する低気圧」のことで、「発達する」というのは「気圧が低くなる」ことです。気象庁によれば、緯度によってその基準は変わるものの、一般的には1日で約24ヘクトパスカル以上気圧が低くなることとされています。

「爆弾低気圧」は正式な気象用語ではありませんが、その低気圧がもたらす風や高波などの影響の大きさを表現するために、気象解説の現場などでは実は20年以上前から使われていたといいます。

1986年発行の「NHK最新気象用語ハンドブック」には「爆弾低気圧」は掲載されていませんでしたが、1995年に発行された同著には、「近ごろは、低気圧の中心の気圧が1日に約24ヘクトパスカル以上下降するような低気圧のことを爆弾低気圧と呼ぶことがある」と記されています。一方、2005年版には「学術用語として認知されていないので放送では使用しない」と加えられています。

ところが2012年4月2日~3日に、24時間で42ヘクトパスカル下降という過去に例がないような低気圧が日本海を北上しました。センバツ高校野球の決勝戦が翌日に順延され、関東は帰宅時間に暴風雨が直撃するとの予想から、終業時刻を早める企業や団体もありました。この列島を駆け抜けた春の嵐でマスコミが一斉に「爆弾低気圧」という言葉を使い、昨年末の「ユーキャン新語・流行語大賞2012」にノミネートされるまでに至りました。

4月2日夜の天気図(左)と24時間後の予想図(右)。当時は24時間で36ヘクトパスカル下がる予想が、実際は42ヘクトパスカル下降した(気象庁HPより)