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細胞が「きれいな死に方」を選ぶとき

働きもののカラダの仕組み 北村昌陽

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NIKKEI STYLE

 「新陳代謝」という言葉をご存じですね。体の構成成分を、新しいものに入れ替える作用です。細胞も新陳代謝します。古い細胞が取り除かれ、新しい細胞が生まれてきます。このとき、"取り除かれる"細胞は、計画的に死ぬ必要があるのです。それが「アポトーシス」です。

今回のテーマは「死」。こういうと何やら不吉な話に聞こえるかもしれないけれど、動物の体の中では、死は実は日常的な出来事。むしろ、死をうまく取り入れることで、全体としての「生」を保っているのが、私たちの体なのだという。

ここでいう「死」は、細胞レベルの現象だ。細胞は生き物の体を作る基本単位で、人間の体は約60兆個の細胞が集まってできている。たいていの細胞は、体の外に取り出して培養液に入れると、そこでしばらく生きている。個々の細胞が、独立した生き物のように、それぞれの命を持っているわけだ。

「でも、長く生きた細胞は老化し、さまざまな異常が蓄積します。そうなると、取り除く必要があるのです」

東京理科大学薬学部教授の田沼靖一さんはこう話す。古い細胞を除去して、全身の「生」を保つ。そんなふうに、細胞が計画的に死んでいくメカニズムが「アポトーシス」だ。

毎日ステーキ1枚分の細胞が死んでいる

死という観点から見ると、体内の細胞は2タイプに分かれる。古くなった細胞が死んで新しく入れ替わる「再生系」細胞と、同じものがずっと生き続ける「非再生系」細胞だ。

再生系の代表例は皮膚の上皮細胞で、約28日周期で入れ替わる。死んだ細胞は角質化して肌の表面を守り、やがて垢になってはがれ落ちる。

一方の非再生系は、脳の神経細胞が代表例。脳は、神経細胞のつながり具合が記憶などの機能と直結しているため、古くなったからといって簡単に置き換えられない。ひとつの細胞が何十年も生き続け、死んだらほとんど補充されないという。

アポトーシスが起きるのは、再生系の細胞だ。老化によって少しずつ不具合がたまり、日常的な補修では直しきれなくなったとき、細胞は「計画的な死」へかじを切る。そのプロセスは大きく4段階。(1)遺伝子(DNA)を切断 (2)細胞の骨組み(骨格たんぱく質)を切断 (3)細胞を断片化 (4)断片を貪食細胞が食べて掃除──。これで元の細胞はすっかり姿を消す。

「1日に死ぬ細胞の総量は約200g。ステーキ1枚分ぐらいです」と田沼さん。

アポトーシスの特徴は「きれいに死ぬこと」だという。「細胞の中身が漏れないのです。だから炎症が起きず、痛みもありません」。

これは、細胞のもうひとつの死に方=ネクローシスと比較するとよくわかる。ネクローシスは、やけどや打撲などで細胞が傷ついて死に至る、いわば細胞の"事故死"。このときは細胞が膨張して破れ、中身を付近にまき散らす。それが引き金となって炎症反応が起き、痛みや発熱が生じる。

なるほど。やけどが痛いのは、中身がまき散らされるからなのか。通常の新陳代謝であんな痛みが出てはたまらないだろう。そう考えると、アポトーシスは実にありがたいものだ。

生きるべきか、死ぬべきか 判断を分けるカギは?

「日焼けすると、アポトーシスを実感できます」と田沼さんはいう。肌を焼くとき、陽に当たる時間を上手く加減すれば、褐色化した細胞が生き続けて肌に定着するが、一気に浴びると、ダメージが強すぎて上皮細胞がアポトーシスしてしまうのだ。「すると皮がぺろんとむけますね。あれはアポトーシスした細胞の死骸なのですよ」。

ほぉ~。つまり、あるレベル以上のダメージになると、体は補修をあきらめて「もう死んでもらおう」と判断するわけだ。その判断は、どんなふうに決まるのだろう?

「そこは今、世界中の研究者が答えを探しています。解明すればノーベル賞級ですね」

なるほど。最先端の生命科学が追求する「細胞の死」研究の行方に注目しましょう。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。

[日経ヘルス2012年2月号の記事を基に再構成]

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