AKB初の海外姉妹グループ、JKT48の可能性
日経エンタテインメント!
AKB48初の海外姉妹グループとして2011年11月に誕生したのが、インドネシアの首都ジャカルタを拠点とするJKT48だ。常設となる劇場を春までには確保し、「会いに行けるアイドル」のコンセプトはそのままに、活動を本格化させていく。現在は、劇場デビューに向けて週4~5日のレッスンを積む日々だが、早くもインドネシアで放送されているポカリスエットのCMに出演するなど、着々と知名度を高めている。
■現地の企業がバックアップ
AKB48の世界展開は、プロデューサーの秋元康氏が数年前から温めていたプロジェクト。様々な地域で姉妹グループ設立の可能性を検討していたが、最初に準備が整ったのがジャカルタだった。現地での運営には、インドネシア最大手のメディアコングロマリットで、楽天とも提携している「MNCグループ」が協力していく。これは、楽天の三木谷浩史社長と秋元氏とのつながりもあって実現したことだが、MNCグループのレイノ・バラック氏は「秋葉原でAKB48の劇場公演を見て、インドネシアでの新しいビジネスの可能性を感じた」と語る。
インドネシアの人口は世界で4番目の約2億4000万人。そのうち30歳未満が約半数を占めるという若い国だ。『スラムダンク』から『ONE PIECE』まで、日本のマンガやアニメなどが非常にウケている土壌もあり、日本式のアイドルが根づくポテンシャル高い地域だといえよう。
JKT48の最終オーディションは2011年11月2日に開催された。応募総数約1200人から最終審査に残ったのは51人。『ヘビーローテーション』のダンスと、持ち歌などを披露し、28人が合格した。選考基準について秋元氏は、「メンバー選びに際して、インドネシアという土地柄は考慮しなかった。僕らが魅力的だと感じる女の子はどの国でも共通していると思う。学校のクラスにこんな子がいたらいいなというバランスで、個性を重視して選んだ」と話した。また、「初めはAKB48と同じようにスタートするけれども、将来的にはJKT48独自の方向性になるかもしれない」(秋元氏)と語った。
■メンバー選考の基準は?
こうして結成されたJKT48は、オーディションの課題曲でもあった『ヘビーローテーション』のインドネシア語バージョンを2011年12月に地元のテレビ番組でも初披露。ファンとの握手会も行っている。
握手会に参加したファンにJKT48の期待度を聞くと、「最初は、AKB48の姉妹グループを作るならば、シンガポールのようにAKB48の劇場を作ったほうがいいと思っていましたが、JKT48のパフォーマンスを見て考えが変わりました(笑)。インドネシアに本当のアイドルが生まれる予感がします」(AKB48渡辺麻友とJKT48ナビラ推しの男性)、「実は以前は、JKT48の反対派でしたが、パフォーマンスを見て、成長ぶりに少しずつ応援しようという気持ちになっています」(AKB48河西智美とNMB48渡辺美優紀推しの女性)などの声があった。
インドネシアも他のアジア諸国同様にK-POPや韓流ドラマの人気が高まっている。J-POP巻き返しの橋頭堡としても、現地で愛される可能性を秘めているJKT48は大きな役割を担っている。
(日経エンタテインメント!編集長 吉岡広統)
[日経エンタテインメント!2012年3月号の記事を基に再構成]
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