日本人が一度手放した穀物が蘇生、「麦ご飯」人気のワケ日経BPヒット総研 西沢邦浩

話題の糖質制限で検討されるべきリスク

「糖質制限」「炭水化物抜き」が人気を博す理由として挙げられるのは、効率的に体重が減ることや血糖値を上げる糖質自体の摂取量を抑えるため、糖尿病患者が血糖値管理を行いやすいことなど。

しかし、このような食事法を実行しているにもかかわらず、糖質と炭水化物の違いがよく分かっていない向きも多いようだ。

炭水化物=糖質+食物繊維。そして糖質は、吸収がよく血糖値を上げやすい、砂糖、ブドウ糖といった糖類やでんぷん、消化吸収されにくく水溶性食物繊維と同様に腸内の善玉菌の餌になるオリゴ糖などで構成される。

つまり、炭水化物を抜くということは、食物繊維類の摂取量も激減するおそれがあるということにほかならない。1955年と現在を比較してみても、摂取量が減っているのは穀物からとる食物繊維量なのだ。

~食物繊維不足の原因は穀物からの摂取量減~

日本人の成人が1日に摂取する食物繊維量は、1955年には20グラムを超えていたが、今では14グラム程度に減少。特に穀物からの摂取が減っている

炭水化物摂取量を極端に減らしたときに腸の健康は確保されるのか、大腸がんのような疾患が起こるリスクは高まらないのかなど、長期的な研究をもとにした安全性エビデンスの取得が望まれる。

私たちがとるべき炭水化物とは?

確かに甘いジュースや菓子などに含まれる“糖類”は控えたほうがいいだろう。摂取量が多いほど心血管死のリスクが高くなるという大規模調査が2014年4月に報告されている(JAMA Intern Med.;Apr 1,174(4),516-24,2014)。世界保健機関(WHO)も2014年3月に、「肥満などの疾病予防のため、砂糖は1日25グラム(ティースプーン6杯程度)に」という指針を発表した。

残念ながら白米や精白した小麦を使ったパンなども食物繊維をほとんど含まないため、食後血糖値が上がりやすい食材だ。

精製した穀物を多く摂る人は体脂肪が増えやすい(Am.J.Clin.Nutr.;92,5,1165-71,2010)、血糖値が上がりやすい食事をする人で糖尿病発症リスクが高い(Metabolism;61,1,47-55,2012)といった研究もあるので気をつけるに越したことはなさそうだ。

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