日本人が一度手放した穀物が蘇生、「麦ご飯」人気のワケ日経BPヒット総研 西沢邦浩

1960年にはしっかり食べていた大麦、現代の“新商品”で蘇生

実は、日本人は1960年には国民一人当たり年間約8.1キログラムの大麦を食べていたが、この50年で消費量は40分の1近くまで落ち込んでいた(農林水産省「平成23年度食料需給表」より)。

パサパサして白米に交ぜたときの食感が良くないことが大きい。白米に比べると、日本で食用に作付けされてきた「うるち」という種類の大麦は炊き上がった直後も冷めた後も白米の2倍以上硬い。その昔、白米不足の中で「麦ご飯」を食べていた年長者に大麦嫌いが多いのもそのためと考えられる。

しかし、おいしい大麦、もちもちした食感を持つ「もち麦」が出回るようになって市場が動き始めた。

これが、もう一つの大麦市場拡大の理由だ。

白米同様、大麦にも「うるち」と「もち」の2種類がある。日本では、寒冷地型のもち麦が育ちにくいため、主にうるち麦が栽培されてきた。硬い食感のうるち麦を少しでも食べやすくしようと、押しつぶした押麦や白米のような形状に精麦した米粒麦に加工されて店頭に並んできたが、大麦消費量は回復しなかった。

そんな中、2012年春あたりから、米国やカナダといった寒冷地で作られているもち麦がスーパーなどの店頭に並び出した。

もち麦の硬さは白米とほとんど変わらない。そのため、うるち麦を交ぜた麦ご飯とは違い、「おいしく食べられて健康実感が得られる」という声が消費者から上がり始めたのだ。現在は、炊飯用として「もち麦ごはん」(はくばく)、レトルトタイプの「大麦生活」(大塚製薬)、冷凍食品として「もち麦炊き込みごはん」(ニチレイ)といった商品が市販されている。

~手軽にもち麦が摂れる商品~

[左]もち麦を50%使用したレトルトタイプの麦ご飯。1食分150グラムに食物繊維が4.5グラム(うちβ-グルカンが3グラム)。209kcal、200円(税別)。大塚製薬 [右]冷めてもモチモチ感が続くもち性の大麦。100グラムに水溶性食物繊維が9.0グラム、不溶性食物繊維が3.9グラム。720グラム(60グラム×12袋)、430円(税別)。はくばく
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