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構内に大空間 新宿駅、東西通路が変える人の流れ

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日本一の利用者を誇る新宿駅で、東口と西口を結ぶ「自由通路」の工事が始まった。構想から30年以上を経てようやく実を結ぶ大事業は、線路による東西の分断を解消し、人の流れを大きく変える可能性を秘めている。完成予定の2020年に向けて、周辺では再開発の動きも出始めた。

2020年にも改札外通路が完成

新宿駅周辺を歩いていると、判断に迷うことがある。西口から東口に向かうには、北側を通ったらいいのか、それとも南口まで歩いた方がいいのか――。

東西を横断する通路が少ない新宿駅で、そんな悩みを解消する工事が9月から始まった。改札を通らなくても東西を行き来できる自由通路だ。どこにできるのか。JR東日本の担当者に聞いた。

「ホームの下、地下1階にある『北通路』が、自由通路に生まれ変わります」。北通路はJR新宿駅の東口改札と西口改札の間にある改札内通路。これを現在の17メートルから25メートルへと拡幅し、改札の外に出す。改札は通路に面した場所に新たに設置する予定だ。ちなみに25メートル幅の通路は、同社の駅にある通路では川崎駅と並び最も幅広になるという。

工期は長期間に及ぶ。駅構内の工事となり、終電後から始発までのわずかな時間しか作業ができないためだ。完成は2020年ごろの見込み。総事業費は約115億円で、JR東、新宿区、国がほぼ3分の1ずつ負担する。

改札内に広大な空間出現 駅ナカの可能性も

できるのは自由通路だけではない。改札の中も大きく変わる見込みだ。現在、JR新宿駅の地下には北通路のほか、中央通路がある。中央東口改札と中央西口改札をつなぐ通路だ。この北通路と中央通路の間にある盛り土を取り除き、約3000平方メートルもの広大な空間を作るというのだ。この空間、どのように活用するのか。

「まずは駅の利用者がスムーズに歩ける通路を目指します。将来的には何らかの商業展開も考えられます」。JR東の担当者が話す。同社は「現時点では何も決まっていない」とするものの、品川駅などで展開している駅ナカの商業施設が新宿にできる可能性もあるようだ。

自由通路は「30年来の悲願」

新宿駅は東西の行き来が不便な駅だ。1番線から16番線まである線路が、東西をぶっつり分断している。

改札を通らずに行き来するルートは(1)駅北側にある地下通路「メトロプロムナード」(2)同北側の「角筈(つのはず)通路」(3)南口前の甲州街道――の3つしかない。角筈通路のさらに北には靖国通りがあるが、駅からはかなり離れている。実際に3つのルートを歩いてみたが、ずいぶん遠回りする印象だ。

今回整備される自由通路は、東側が商業ビル「ルミネエスト」、西側が小田急百貨店とつながる場所となる。駅周辺を迂回する必要がなくなり、東口と西口を気軽に行き来できそうだ。

それにしてもこの通路、「地元の要望があってから着工に至るまで30年以上かかった」(新宿区の都市計画担当者)という。なぜこれほどの時間を要したのか。

JR東や新宿区、東京都に尋ねたところ、「合意形成に手間取った」と口をそろえる。「100億円を超える事業なので……」。費用負担を巡り、議論があったようだ。

そもそも自由通路は、1980年代前半に新宿区が当時の国鉄に要望を出したのが始まりだった。JR東日本となってからも「新宿区の悲願」として要望を続け、1994年(平成6年)、東京都やJR東、小田急電鉄など関係者を集めた「新宿駅東西自由通路調査検討委員会」が発足した。

1997年(平成9年)には東京都の整備計画に組み込まれ、2000年代前半になってJRの通路を活用することが決まった。最終的な合意に達したのは2008年(平成20年)だった。

JR東によると、「通路の幅を巡って複数の案が出て、その検討に時間がかかった」という。通行量がさらに増える可能性に備えて40メートルに広げる案があったが、線路を動かす必要があるため工期・工事費が膨れあがり、現実的ではないと判断したようだ。

東口でも再開発の機運 駅前広場整備も

新宿区の「30年来の悲願」である自由通路。完成すれば人の流れに大きく影響するだけに、駅周辺では再開発の機運が高まっている。

東京都では、都が管理する東西駅前広場の再整備に向けて、調査を進めている。「まだ課題整理の段階」とするものの、通路が完成する2020年までには整備にメドを付けたい考えだ。

新宿区では2011年に「新宿駅東口まちづくり構想」をまとめ、駅前広場や新宿通り周辺の整備について検討している。

6月には駐車場の設置義務を規定した駐車場規制を、東口周辺について緩和した。これまでは建物ごとに駐車場の整備を求めてきたが、地域全体での整備でよいとした。老朽化したビルの建て替えがしやすくなり、今後新宿通りの再開発に弾みがつくとみられている。新宿区によると、現在建て替え工事中の「新宿中村屋ビル」が新ルール適用第1号となるという。

新宿区ではこのほか、新宿通りの車の通行を規制する「モール化」や地下街「新宿サブナード」の延伸なども検討している。ただ、いずれも事業化のメドは立っていない。

小田急、西口再開発に備え

西口はどうか。駅前広場については東京都が再整備の検討を進めている。高速路線バスの乗り場は、南口に新たにできる「交通結節点」に移る予定だ。跡地利用はまだ決まっていない。

駅前の商業施設では、小田急百貨店、京王百貨店とも「現時点では建て替えなどの計画はない」という。ただ小田急電鉄は2011年、西口広場に面した「新宿スバルビル」を取得した。専門の部署を立ち上げ、再開発の動きに備えている。

西口は東口に比べ歴史が浅いとはいえ、駅前が整備されたのは1960年代のこと。小田急百貨店(現・ハルク)が開店したのは1962年(昭和37年)。1967年(昭和42年)には現在の新宿店が本館としてオープンした。京王百貨店が1964年(昭和39年)、西口広場ができたのは1966年(昭和41年)になる。多くのビルは建て替え時期を迎えており、東西通路が完成する2020年に向けて動きがありそうだ。

再開発前の西口は工場と学校の集積地

早くから商業施設が集まっていた東口に対し、西口では開発が遅れていた。新宿歴史博物館の学芸員、後藤理加さんによると、西口は1898年(明治31年)にできた淀橋浄水場と、1902年(明治35年)にできた六桜社(現コニカミノルタ)の工場、それにたばこ工場があり、東口ほどのにぎわいはなかった。

西口は工場のほか、学校も多かった。斑目文雄「新宿西口・東口・四谷あたり」(原書房)によると女子独立学校(のちに精華学園、現在は東海大学付属望洋高校)、東京女子大学、日本中学校(現・日本学園)、明治学院神学部、工学院大学が一時、校舎を構えていた。東京女子大は1918年(大正7年)に新渡戸稲造が新宿で開校したのが始まりだ。女子独立学校は精華学園時代に内村鑑三が一時期校長を務めていたことでも知られている。現在、西口に残っているのは工学院大学だけだ。

新宿副都心計画が進んだのは1950年代後半から1960年代半ばにかけて。1965年(昭和40年)には淀橋浄水場が閉鎖となり、跡地は高層ビル群になった。西口は急速に発展し、1970年代半ばまでにはほぼ現在のような街並みとなった。

西口に女子野球の球場があった

ところで新宿歴史博物館で西口の歴史を調べていると、興味深い写真を見つけた。それは「東京生命球場」という名の野球場の写真だった。西口が副都心として開発される前のことらしい。どんな球場だったのか。「昭和プロ野球を彩った『球場』物語」などの著書がある佐野正幸さんに聞いた。

「東京生命球場は現在の新宿中央公園にありました。戦後、盛り上がった女子野球の本拠地だったようです」

桑原稲敏「女たちのプレーボール」(風人社)によると、東京生命球場ができたのは1951年(昭和26年)。当時の日刊スポーツにはこんなくだりがある。

「球場の広さは後楽園にも劣らぬものであるが、ただ外野のフェンスが低いのと、観客収容量が十分でないため、プロ野球の球場としては、本塁打が乱発のおそれがあるかも知れない。女子野球、高校野球、実業団には適当な球場となるであろう」

当時、女子野球は人気を集め、乾電池メーカーがスポンサーの「岡田バッテリーズ」や「京浜ジャイアンツ」などのチームがあったらしい。1950年に女子プロ野球を標榜して団体を立ち上げたが、2年後には社会人野球に転換、ノンプロ化した。1960年代後半には球団が次々解散し、女子野球の歴史は幕を閉じた。女子野球がプロとして復活したのは2009年のことだ。現在では関西を中心に試合が行われている。

歴史が詰まった新宿駅周辺。次回は新宿の鉄道路線についてとりあげる。(河尻定)


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