持ち家あっても安心できない どうする老後の住まい富士通総研経済研究所上席主任研究員 米山秀隆氏

空き家が増えるなど、少子・高齢化で住宅市場が一変している。新しい高齢者向け住宅の供給も増えてきた。これからの住まいはどうなるのか。不動産市場に詳しい富士通総研経済研究所上席主任研究員の米山秀隆氏に聞いた。
よねやま・ひでたか 1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業、89年筑波大学大学院修士課程経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所を経て、富士通総研経済研究所上席主任研究員。2007~10年慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員。著書に「少子高齢化時代の住宅市場」「空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ」(ともに日本経済新聞出版社)がある。

――昨年、「空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ」(日本経済新聞出版社)を出されました。空き家が増えているんですね。

米山 空き家の問題はこの1年ぐらいにクローズアップされてきました。2008年時点での空き家率は13.1%で、7軒に1軒が空き家という状況です。20年後くらいには空き家率は25%くらいになりそうで、非常に深刻な問題です。最近問題になっているのは、代替わりしたときに住む人がいなくなってそのまま放置される一戸建てです。草は生え放題、手入れもなされていないということで苦情も多く、自治体は空き家管理条例をつくり、指導、勧告しています。強制的に取り壊せる規定を設けているところもあります。

進まぬ空き家取り壊し、税制が障壁に

――相続するお子さんもいないということなのでしょうか。

米山 そういうケースが少子・高齢化で増えています。お子さんがいたとしても、別に住居があり、そこには住まないわけです。使う予定がなければ売却、賃貸すればいいはずですが、物件の手入れがきちんと行われていない場合は、なかなか市場に出しにくい。取り壊せばいいのですが、いまの税制では、取り壊して更地にしたほうが、家が建っている状態より固定資産税が高くなるので、取り壊すことに躊躇(ちゅうちょ)する人も多いのです。

――空き家が放置されていると、景観が悪くなり、防災・防犯面も不安ですね。

米山 地域の人は、放火されたり、犯罪者が出入りしたりするのではないかと懸念しています。自治体によっては解体費を補助したり、土地を行政に拠出するならば解体費は行政がもつといったことをしたりしています。

頭打ちの新築住宅市場、中古物件ではリノベーション増加

――安価な中古住宅が増えていけば、若い人の住宅事情が改善するわけですから、中古住宅が流通するように整備していけばいいのではないのでしょうか。

米山 ところがそれがうまくいっていないのです。新築中心の住宅市場から中古もうまく回る住宅市場に変えていくことが必要だと思います。

1990年代初めまでは毎年160万戸くらいの新築住宅が供給されていましたが、現状は、80万戸と半減しています。ですので、多くの企業が倒産したのですが、新築をつくり続けてきたところは、市場が縮小しても新築中心のビジネスのままです。ただ、中古の物件を買い取って、新たな付加価値をつけるために大幅改修するリノベーションをして再販するといった企業が新たに多数出てきました。高齢の方が住んでいた家を若い人向けに改装したり、シェアハウスにしたりしています。