飲食店のイノベーションはクラウドファンディングから

「SABARファンド」は経営状態をゲーム感覚で閲覧できるよう工夫しているのも特徴だ。出資者へのサービスとして、サバー来店者の性別、滞在時間、売り上げなどをパソコン上でリアルタイムで公開。経営に参画しているような楽しみを提供している。

このサービスはSABARファンド独自のもので、右田氏が発案した。「クラウドファンディングはオーナー気分を味わえるなど、出資者がプライスレスの満足を手に入れられるのも大きな魅力」(右田社長)という。

システム開発会社を経営する久田智之社長もSABARファンドの出資者の一人。出資した理由は、右田社長の魅力的なプレゼンに触発されたから。もちろんサバ好きで、友人を連れて何度か店に行っている。久田社長によると「飲食店の場合は応援団が多いほど成功するし、いろんな人が集まるので面白いことが起きる可能性がある」という。さらにクラウドファンディングは出資単位が少額のため、リスクも抑えられる。「たった3万円からで右田社長の人生を疑似体験でき、面白い人と知り合えるのだから、投資額以上の価値がある」と話す。

サバー1階はカウンター席になっている。「さば博士検定」に合格すると名札が掲げられる予定。第1回3級検定は2014年3月8日に店内で実施された

面白いのは、SABARファンド出資者のなかで店舗のある関西以外の地域に住む人が圧倒的に多いこと。また、男性が6割を占めることから「大阪出張の際に寄りたい店と位置づけている人も多いようだ」(右田社長)。

2014年は神戸店、東京店もオープンする予定なので、出張族の出資が増えるかもしれない。既に2月27日に、東京店開業に向け「SABAR東京ファンド」を立ち上げた。また、3月8日の「さばの日」には第1回さば博士検定3級を店内で実施。「いずれは1級合格者にファンドで開業できる権利を与え、のれん分けで店舗を増やしていきたい」と右田社長は意気込む。

事業が成功すれば、クラウドファンディングで飲食店を開業するモデルができ、後に続く人が増えるはず。大企業や投資家ではなく、個人が店や商品のファンになってビジネスを応援する市場は、今後ますます活気を帯びるだろう。単なる投資とは異なり、夢や絆を生む投資形態がイノベーションを待ち望む今の時代にマッチしている。

(ライター 橋長初代)

[日経トレンディネット 2014年2月20日付の記事を基に再構成]

注目記事