クラウドファンディングで、店1番のお客を出資者に

鯖やの年商は2014年4月期で2億8000万円。前期比47%増と好調だが、サバ料理の販売だけではせいぜい10億円が限界だろう。しかも同社は価格競争を避けるため、関西限定販売に徹している。空と駅という関西の玄関口を押さえ、わざわざ関西に買いにきてもらうことで付加価値を高める戦略だ。

そこで、同社ではシメサバの卸事業を全国展開し、事業拡大を図る。その布石として出店したのがサバーだ。アンテナショップとして注目を集め、食品スーパーのバイヤーに注目してもらう狙いもあるという。

大阪・福島の1号店に続き、2014年5月末には神戸に2号店、9月もしくは10月には東京の新橋か丸の内に3号店を出店する計画。「東京進出を足がかりに卸を強化する」(右田社長)考えだ。

そのサバーが注目されているのは、ビジネスモデルだ。

クラウドファンディングを運営するミュージックセキュリティーズのサイトに掲載されたSABARファンドの概要

飲食店を新規開業する際は、銀行の融資や自己資金を元手にするのが一般的。しかし同店は、インターネットを通じて少額投資を募る「クラウドファンディング」を活用している。中小企業や個人事業者の新たな資金調達方法として、最近注目を集めている手法だ。開店資金を調達するだけにとどまらず、出資者を自店のファンと位置づけ、顧客作りや店舗拡大にも取り組んでいる。

鯖やが利用する「セキュリテ」はミュージックセキュリティーズが運営するクラウドファウンディングのサービスで、現在、130以上の事業者によって200本を超えるファンドを取り扱っている。地域や分野で好きな事業を選べ、事業進捗情報を閲覧できるのが特徴だ。事業が成功して利益が出れば分配金を受け取れるほか、出資者限定商品やツアー、交流会への参加などの特典が付く。

もちろんクラウドファンディングはあくまで投資であり、元本を保証するものではない。「元本割れするリスクを納得したうえで投資してほしい」(ミュージックセキュリティーズの広報担当)と言う。

右田社長がクラウドファンディングを利用した理由は、飲食店に適しているから。「飲食店にとって重要なのは常連客を作ること。出資者が超優良客となり、トロサバの応援団となって口コミで広めてくれれば、裾野が広がる。飲食店の新たな集客モデルになるのでは」と、右田社長は期待を寄せる。実際は銀行の融資よりも委託手数料は高いが、それでも利用する価値は大きいという。

SABARファンドの分配金シュミレーション。これによると1口3万円を出資した場合、事業計画通り月額308万7000円を売り上げれば、ファンド対象期間が終了する5年後の分配額は3万964円となる
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