朝になると目が覚め、夜になると眠くなる。実は、このような自然の環境に合ったリズムは、私たちの体に生まれながらに備わっている「体内時計」の働きで起こります。体内時計は、目覚めや睡眠だけでなく、体温やホルモン、様々な酵素の働きをコントロールし、代謝がスムーズに進むように管理しているのです。
□ 朝起きるのがつらい、だるい |
□ 朝は食べない、もしくはコーヒーだけなど軽め |
□ 夕食の時間は9時以降が多い |
□ 1日の食事の量は一番夕食がたっぷり |
□ ついつい夜食を食べてしまう |
□ 夜になると元気になる |
□ 休みの日はお昼近くまで寝てしまう |
□ 生活が不規則 |
この生体リズムを刻む体内時計には二つの種類があります。一つは、脳の中にある“主時計”で、もう一つは全身の至る所にある“末梢(まっしょう)時計”です。いずれの時計も、時計遺伝子といわれる遺伝子群により制御されています。
主時計は、脳の中で視神経が交差する「視交叉上核(しこうさじょうかく)」にあります。実は、体内時計のリズムは約25時間の周期。けれども、朝、目が光の刺激を受けると毎日リセットされ、自然環境と同じ24時間周期に調整されます。
一方、臓器や筋肉などの細胞にある末梢時計に日々リセット信号を送るのが、食事なのです。「起きてから1時間以内に食事をとると、末梢の時計がリセットされ、主時計のリズムと同調します。しかし、朝食をとらずにいて末消時計がリセットされないと、頭と体の時計がバラバラに動くため、時差ボケの状態に。それが不調や肥満の原因になります」と、生体リズムと脂質代謝を研究する日本大学薬学部准教授の榛葉繁紀さんは解説します。
■シフトワーカーの肥満リスクは一般人の5倍

つまり、現代人が陥りがちな不規則な生活、特に食習慣は、本来正しく刻むべき体内時計を狂わせているというわけです。実際、夜勤などが多く、不規則な生活を強いられるシフトワーカー(交代勤務で働く人)を対象にした調査によると、シフトワーカーのメタボリック症候群の発症リスクは一般人の1.5倍以上、肥満のリスクは5倍になることが分かっています。
「また、シフトワーカーの女性は乳がんの危険性が高まるという報告もあります。シフトワークによる脂質の代謝異常は、体内時計が乱れたことで起こるホルモン分泌の異常のほか、夜間にとるエネルギーが増えるため起こると考えられます」と榛葉さん。
では、体内時計の働きを味方につけるには、どうしたらいいのでしょうか。