ワクチンは子供が接種するものと考えがち。しかし、都立駒込病院感染症科の菅沼明彦医長は「ウイルス感染症の多くは、一度発症すると有効な治療手段がない場合が多い。最も有効な予防手段がワクチン。大人でも自分自身の感染リスクを判断しながら、大人も健康管理に積極的に利用したい」と話す。

大人のワクチンとして最も重要なのは、インフルエンザワクチンだ。高齢者、体力が低下している人、糖尿病など感染症に罹りやすい人があらかじめ接種しておけば、発症しても重症化を予防することができる。
また狂犬病など日本では発症例が無くても、海外では広く流行している病気もある。菅沼医長は「仕事や旅行で海外に長期滞在する際には、感染症に詳しい医師と相談しながらリスクに応じたワクチンを接種しておくといい」と話す。
A 子供のときに必要なワクチンを接種していない |
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B 感染症流行時の予防をしたい |
C ウイルスが原因で発症する「がん」を予防したい |
D 開発途上国など伝染病の流行地域に滞在する |
E 激しいスポーツ、野外活動を行う |
F 医師、教師など多数の人と触れあう職業についている |
G セックスのパートナーが複数である |
左に大人でも接種を検討すべき7種類(A~G)のリスクを示した。例えば、子供のころに麻しん(はしか)・風しんのワクチンを打っておらず、かかってもいない人は免疫がない可能性があるので検討の対象だ。菅沼医長は「ワクチンの中には過去の感染のある人では、副反応が強く出る場合もあるが、麻しん、風しんではその心配が非常に少ない。抗体検査を省いてそのままワクチン接種を受けてよい」と話す。