半世紀ぶりの師弟関係復活、「陰の立役者」に感謝団塊オヤジのナメクジ探索

ナメクジは、小説や随筆など文学の中でどのように扱われてきたのだろうか。

ナメクジの視点に立つと、見た目からくるイメージで、不潔感や、嫌われもの、不気味さなどが不当に誇張されてきたように思えてならない。

自宅本棚の「ナメクジ文学」コーナー

文学の中では不当な扱い

代表的な作品から拾い出してみよう。古くは平安時代の才女、清少納言が綴(つづ)った「枕草子」。「いみじうきたなきもの なめくぢ」とさげすむ。

明治、大正時代の文豪、森鴎外が東京日日新聞に連載した「渋江抽斎」。主人公の友人が嫌いなものとして、雷とともにナメクジをあげる。

このところノーベル文学賞の最有力候補としてささやかれる村上春樹。「ノルウェイの森」で「僕」の先輩、永沢さんがナメクジを3匹のみ込んだ体験を生々しく表現している。「こうナメクジがヌラッと喉もとをとおって、ツウッと腹の中に落ちていくのって本当にたまらないぜ、そりゃ。冷たくって、口の中にあと味がのこってさ」

世界中で読まれたJ・K・ローリング著「ハリー・ポッター」。その第2作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」では、ハリーの親友、ロンがナメクジを吐き出す光景を描く。「ロンは口を開いたが、言葉が出てこない。代わりにとてつもないゲップが一発と、ナメクジが数匹ボタボタと膝にこぼれ落ちた」

本質を的確にとらえた2俳人、賞授けたい

ナメクジを毛嫌いしたり、気味悪がったりする表現が横行する中で、彼らの本質を的確にとらえた作品もわずかにある。

多年負屋一蝸牛(長年カタツムリのように殻を背負ってきた)

化做蛞蝓得自由(ナメクジになり自由を得た)(後略)

江戸時代、芭蕉の弟子の中で十哲にあげられた内藤丈草は、窮屈だった武士の世界から脱出して禅僧になった時の心境を、「丈草発句集」の冒頭でそんな漢詩を書いている。

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