講座は“はやぶさ”小天体探査計画などにも関わった秋山演亮(ひろあき)和歌山大学宇宙教育研究所長が、秋田大学勤務時代の2000年代、大学のユニーク教育事業として女子高生向けに始めた「ロケットガール養成講座」が母体。文部科学省の女子中高生の理系選択支援事業に採択され、その後は対象を高校生全般に広げ「理数が楽しくなる教育」実行委員会が結成され、各地の大学などが主催して講座の輪が広がってきた。
高校生のロケットイベントでは、08年に始まった「缶サット甲子園」(空き缶サイズの模擬人工衛星を打ち上げ、技術力・創造力を競う大会で、世界大会もある)が有名だが、“仕掛け人”は秋山氏はじめ、山崎さんがアドバイザーを務める日本宇宙少年団やJAXA(宇宙航空研究開発機構)、各地の大学などほぼ同じ顔ぶれらしい。
養成講座の事務局は、宇宙関連事業などを手掛けるスペースシフト社(東京・港)が務めている。
高校生の熱いミッション
打ち上げ実験は3月21~23日の3連休を利用し、三原山の裏砂漠で22日に実施された。
ロケットガール&ボーイは一体どんな高校生たちなのか。打ち上げ前日の21日夕、宿舎の旅館を訪れ、前夜の作業現場をのぞいた。
Aチームは首都圏の女子高生5人。所属クラブは科学部、天文気象部、生物部など、いわゆるリケジョが大半。塩ビ管で造った全長2mほどの機体を、固形燃料に液体燃料を混ぜて打ち上げるハイブリッドロケットを製作中だ。チーム・ロケット名は「634(武蔵)」。
「ミッションは2つ。缶サットに詰めた人形『ポピン』(メリー・ポピンズから命名)を空中で開放してパラシュートで降下させること。また発射後マッハ0.35で高度732mに達し、東京スカイツリーの高さ(634m)を超えるのが目標」とリーダーの濱田有希さんたち。
Bチームは首都圏の高1~3年の男子6人。ロケット名は大島桜から付けた「桜花」。長さ約1.5mのハイブリッドロケットで、「最高到達点で缶サットを放出し、空き缶に詰めたチョコレートが溶けながらパラシュートで82秒かけて型にはまって落ちてくる計画です」と男谷文彰リーダーらが解説してくれた。