もし待機児童になったら 「100人待ち」でもあきらめない
「不承諾通知」が届いたら、すぐに対応する必要がある
A1 認可保育園の4月入園の「合否結果」の通知(正確には「内定通知」や「不承諾通知(保留通知)」などと言います)が送られてくるのは、早いところで2月上旬、遅いところで3月上旬と、自治体によって幅があります。もし、「不承諾通知」が届いてしまったら、希望したどの認可保育園にも入れなかったということですので、4月から復職を予定している人は、すぐに対応する必要があります。
一般的な順に、対応を挙げますと……
2) 勤務先に復職を延期してもらう(法律により1歳半までは育児休業を延長することができます)。
3) 通える範囲の認可保育園で2次募集がある場合には応募する。
1、2の場合は、認可の「待機児童」になり、5月以降に認可の希望園の希望クラスに欠員が発生して選考会議が行われる場合にはその対象となります。
年度途中でも入園するチャンスはある
認可保育園へは本来、前月の中旬までに申請すれば翌月の1日から入園できるのですが、待機児童が多い自治体では、卒園・進級のある4月でなければ入園しにくくなっています。このため、認可に入るチャンスは年に1回しかないという誤解があるようですが、実際には、4月以外でも引っ越し・転勤・退職などの親の都合による退園・転園は結構ありますので、待機していれば、年度途中にも入れるチャンスはあります。
特に、認可外保育施設(認証保育所や横浜保育室も含む)や保育ママに預けられている子どもは「加点」(優先順位を上げるための調整指数)がもらえるので、入園選考で有利になります。
「不承諾」になった場合は、自動的に「待機(保留)」の扱いになるのが普通です。認可外保育施設に入った場合、役所から、「認可外保育施設に入られたのでしたら、認可保育園への入園申請は取り下げますか?」などと問い合わせがある場合がありますが、認可に転園したいと考えている場合は、取り下げてはいけません。
また、入園申請の保留は大抵6カ月までとなっているので(期間については役所に問い合わせる必要があります)、その期間内に入園できなかった場合は、入園申請を出し直さなくてはなりません。
A2 「保育園を考える親の会」の調査によれば、東京都心部(23区)の場合、認可保育園に入園申請をした人のうち、入園できているのは平均して6~7割程度です。ひどいところは4割前後しか入れていないところもあります。
入園競争の激しい地域では、認可の結果が出てから認可外を探していては手遅れになってしまいます。理想的には、認可の申請前に、なるべく早く、認証保育所等の自治体の助成を受けている認可外保育園に申し込みをしておいた方がよいといえます。でも現在、出遅れている人も、あきらめずに行動を開始しましょう。通えるところで、見学をして安心できそうなところが見つかったら、保育料(別途料金にも注意)もチェックし、入園を予約します。
認可外保育園の入園決定方法や予約金は施設ごとに異なる
ここで問題になるのが、入園者の決定の方法や予約金などです。施設ごとにいろいろなやり方があります。
認証保育所や横浜保育室などでは、先着順(申し込み順)のところが多いようですが、独自の基準を設けて入園選考を行うところもあります。また、「認可に申し込まずに専願にするなら、今すぐに入園を決定する」と言われたり、「予約金として入園金を入れてください。認可に決まった場合は返金しません」と言われたりする場合もあります。
補助金を受けている施設でこういった条件を付けることの是非は問われなくてはなりませんが、それはさておき、子どもの預け先を探している立場からすれば、認可への入園の可能性を考えて迅速に判断するしかありません。入れない可能性がとても高い場合には、いったんこれらの認可外に入園し、認可の入園選考での「点数」を上げて認可の入園に再チャレンジするのも1つの方法です。
ただし、保育の質が心配なところに無理して入れても、不安のあまり仕事を続けられなくなることもありますので、見学をして信頼できるところを選ぶ必要があります。
「100人待ち」でもあきらめないで
A3 A2に書いたように、認可保育園の待機児童が多い地域では、認可保育園を希望する人の多くが、入れなかった時のことを考えて認証保育所などの認可外に予約申し込みをしています。つまり、その人たちは、認可保育園に内定した場合、認可外の方は辞退します。さらに、認可外にいくつも重複して申し込みをしている人も多いので、どれか1つの認可外に入園を決定した場合も、他は辞退します。そのため、「100人待ち」と言われていた認証保育所から「入れます」と連絡があったと驚く人もいます。待ち人数が多いと言われても、希望を失わずに予約しましょう。
次回は他の選択肢について解説します。
この人に聞きました
出版社在職中に2回の育児休暇を取り2人の子どもを保育園に預けて働く。1993年より、「保育園を考える親の会」代表。保育、仕事と子育ての両立の分野の執筆・講演活動を行うほか、国や自治体の保育・子ども施策に関わる委員会等の委員も務めている。著書に『共働き子育て入門 』(集英社新書)、『保育園のちから 』(PHP研究所)、『はじめての保育園 』(保育園を考える親の会編、主婦と生活社)、『はじめての小学校&学童保育』(保育園を考える親の会編、学陽書房)ほか多数。
[日経DUAL2014年1月27日掲載記事を基に再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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