2013/1/9

職場の知恵

──日本だと出る杭は打たれ、周りに合わせることが求められます。

米国人は個性を尊重し、独創性を重んじます。ほかの人と違うことを尊ぶだけでなく、人よりももっと良い、もっと面白い、もっとエキサイティングなアイデアを出した人が偉いという価値観がある。だから、子供たちも早くからディベートの教育を受け、自分らしさを大事にして新しいアイデアを提言し、皆に貢献しようとします。

確かに、人と違ったことをすると打たれるという風潮は、アジアでは強いかもしれませんね。年長の男性が最も偉く、女性の活躍を阻む傾向もある。非常に優秀な女性がたくさんいるのに、取締役会に女性が1人もいないという会社はゴマンとあるでしょう。

MITの学生は女子が半分以上を占めます。教授にしても、できるだけ多様な人種に対して広く門戸を開こうと努力しており、同じ実力であれば積極的に女性や黒人、全く異なる世界から来た人などマイノリティーを採用する。それは価値観の異なる人々がぶつかることで、知の創造性が活性化されるという信念を持っているからです。同じような考え方の人がいくら集まっても変革は起こせません。

──個人はどういう意識を持って働くといいでしょうか。

自分にラベルを貼るのをやめましょう。何をやるにしても、クリエーティブであろうとしたら、自分の肩書や専門にこだわってはいけない。例えば、「自分はエンジニアだから技術だけ分かっていればいい。アートのコンセプトへの貢献は期待されていない」と思った時点であなたは終わっています。仕事というのは総合芸術なのです。ルネサンス的人間でなければ、ある次元より高いところへは行けない。エンジニアだって社会や文化に対する造詣は必要です。さらに、自分の中にアーティスティックな美学がなかったら、思いも何も人に伝わらない。

私はエンジニアですが、アーティスト、デザイナー、サイエンティストでもあります。さらに研究資金を集める時はビジネスパーソンであることを求められます。そのすべてを演じている。エンジニアとアーティストの価値観は違う。サイエンティストの価値観も違う。アートの世界のアイデアをどうやってサイエンティストにも伝え、感銘を与えられるか。さらに、それをビジネスの世界にどう転じるか。そのためには翻訳能力も必要でしょう。

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