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熟成肉なぜうまい 「腐りかけの肉」と何が違う?

2014/4/8

しばらく寝かせてうまみを増した「熟成肉」がブームだ。この肉を使った料理を専門に扱う飲食店が相次ぎ登場しているほか、吉野家が4月中旬から牛丼の肉を熟成肉に変える。昔から「肉は腐りかけがうまい」ともいわれるように、肉には寝かせて生まれる価値がある。「熟成肉」はただの「腐った肉」とは何が違うのか。

■黒ずんだ肉の表面 漂うまろやかな香り

40日熟成した牛肉。カビの生えた表面を削るため歩留まりは悪くなり卸値は4~5割高くなる

東京・食肉市場で仲買業務を手がける小川畜産興業(東京・港)の冷蔵庫。セ氏1~4℃、湿度60~80%に調節された室内にはいくつもの扇風機が回り、棚に並んだ肉に風を送る。

「これが40日間熟成した牛ロースですね」。高木聡取締役が指さした肉の塊。表面は黒ずみ、ふさふさした綿毛状のカビが風に揺れている。「食欲をそそる」とか「おいしそう」というイメージではない。むしろグロテスクである。熟成肉だと知らされずに見たら、ほとんどの人は単なる「腐った肉」だと思うだろう。

ところが室内にかび臭さはなく、漂うのはナッツのようなまろやかな香り。東京・芝浦などの食肉市場で覚えのある生肉の臭いとも違う。

■うまみ成分のアミノ酸 微生物の力で5~6倍に

肉を熟成させるにはいくつかのやり方があるが、いま最も注目されているのが温度や湿度、風を調節する「ドライエイジング」だ。一定の条件のもと、風を当て続けることで肉が含む余計な水分(自由水)を飛ばし、タンパク質やミネラルを凝縮させる。

乾燥が進む過程で付着する特定の微生物が生成する酵素は、凝縮されたタンパク質をうまみ成分のアミノ酸に変える。「干物と同じ理屈」(高木取締役)だ。

小川畜産が依頼した研究機関の分析では40日の熟成を経た牛肉のアミノ酸は5~6倍に増えた。繊維もほぐれ、2割少ない力でかみ切れるようになった。つまり2割軟らかくなった。

■肉の“発酵食品” 「腐った肉」とは違う

ドライエイジングはニューヨークなど欧米で発展した伝統だ。「欧米では水分が多い赤身肉が主流。これをいかに柔らかく、おいしくするかというのが出発点になっている」。日本ドライエイジングビーフ普及協会の会長を務める食肉販売会社「さの萬」(静岡県富士宮市)の佐野佳治社長は解説する。牛肉は豚や鶏に比べて自由水を多く含み、熟成が最も効果を発揮する。

日本にも熟成の伝統があった。「枝枯らし」と呼ばれる手法で、枝肉のまま風を当てずに熟成させる。

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