進学実績躍進「堀川の奇跡」 京都はなぜ教育熱心なのか

2012/11/8

京都ここだけの話

大学・短大への現役進学率が全国トップの京都は、教育に関する話題が多い都市です。公立校の改革を進めてきた京都の教育の最新事情を解説します。

【登場人物】
東太郎(あずま・たろう、30) 中堅記者。千葉県出身。人生初の「関東脱出」で京都支社に転勤し半年。取材時もオフの日も突撃精神で挑むが、時に空回りも。塾通いのためにリトルリーグの野球をやめた時、特に悩むことはなかった。
竹屋町京子(たけやまち・きょうこ、25) 支社の最若手記者。地元出身、女性ならではの視線から、転勤族の「知識の穴」を埋める。小、中学校とも校歌の歌詞に「比叡」がうたわれていたのが、ちょっと誇らしい。
岩石巌(がんせき・いわお、50) 支社編集部門の部長。立場上、地元関係者との交遊も広く、支社で一番の「京都通」を自任する。中学に上がるまで、近所の神社へ習字とそろばんに通っていた。字はさておき、暗算には今でも自信アリ。
(登場人物はフィクションです)

京大合格数、公立校日本一「堀川の奇跡」

東太郎 京都の街中を歩いていると「こんな一等地に」という意外な場所に学校が立っていることがよくあります。真新しい校舎が多いですね。

竹屋町京子 少子化の影響もあって、あちこちの学校を統合して新校舎を建てましたからね。御池通沿いの御池中学校は、学校とは思えないおしゃれなデザインですよ。

岩石部長 立地が良く外観もきれいと言えば堀川高校もそうだな。約60億円をかけて、1999年に京都市内の市立高校で初めて全面改築したんだ。

太郎 「堀川の奇跡」という言葉は東京でも聞いたことがあります。いわゆる普通の公立校だったのが、短期間で進学実績を飛躍的に伸ばしたんですよね。

京子 堀川高校は改築と同時に、科学的な探究能力の育成をうたった「探究科」を新設。最初の卒業生が出た2002年の春に、前年6人だった国公立大の現役合格者数が一気に106人に増えたんです。うち6人が京都大学に合格し、さらに04年には32人が京大に合格しました。

部長 12年も進学実績で過去最高を更新しているな。京大の合格者数は現役生で41人、浪人生を含めると62人で、なんと全国の公立高校でトップになった。1学年約240人だから、かなりの割合だ。

太郎 いわゆる「ガリ勉」路線じゃないんですか?

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