アベノミクス農業6次産業化は至難の業(加藤百合子氏の経営者ブログ)

2013/6/17

こんな例は全国にかなりあるようです。

イモを菓子などに加工して販売する事業に乗り出した方がいます。加工設備の導入費用の半分は補助金で賄いました。地元自治体も「我が町で初めての6次産業化だ」と販促活動を徹底的にサポートしました。ある魚を有機肥料として使っているのが特長で、その魚の名前とイモを掛け合わせた語呂のいいブランド名で販売を始めたのですが、苦戦しています。

収益改善に向けてビジネスプランを見直そうとしたのですが、補助金の縛りから思うように計画が変更できないそうです。支援されているような、足を引っ張られているような……。6次産業化は起業と同じです。ベンチャーは当初想定したとおりにならないのが常ですので、機動的な修正が難しい「行政の硬直性」は、事業側にとっては命取りになりかねません。

法制度の面でも壁があります。「農地法」という法律がありまして、農地の転用に厳しい制限をかけています。畑の一部にレストランや野菜加工場を建設するなんて、ほとんど許可が下りません。畑に接した自宅を改装するという手段もありますが、お客様用の駐車場はどのように用意するのでしょうか。

つまり、田畑とは別に広い土地をお持ちでないのなら、6次産業化はまず無理です。

規制をクリアし初期投資のかなりの部分を補助金で賄うとしても、「レストランでもやってみるか」という気持ちでは成功しないと思います。本気で取り組んでいらっしゃる方、地元の農業の活性化に熱意を燃やす行政の方を何人も知っていますが、「うまくいっているなあ」と感じる6次産業化の事例に私は出会ったことがありません。

逆の話も成立します。流通業など第3次産業の方が「農業でもやってみるか」という気持ちで第1次産業に参入しても、やっぱりうまくいきません。兼業ではなく起業として取り組んで、初めて成功するようです。

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